ロッテの育成左腕、本前郁也投手(23)が階段を1つ上った。ソフトバンク戦に2番手で登板。3イニングを打者9人でパーフェクトに抑えた。

主軸にもひるまない。中村晃を初球で三塁ゴロに仕留め、松田宣からはチェンジアップで空振り三振を奪った。「ここで満足せず、次回もこのピッチングを続けられるようにしたいなと思います」と引き締めた。

北翔大時代からポテンシャルの高さが注目された。19年育成ドラフト1位で入団。1年間で直球最速は149キロに達した。この日は143キロ前後が中心で、最速は147キロ。王者ソフトバンク打線を制するだけの圧倒的な球はまだないようにも見受けられたが、打球音は総じてあまり甲高くなかった。

チーム内でいっても、小島や中村稔ともまた違う。本前はどんな左腕なのか。吉井理人1軍投手コーチ(55)はこう見る。

「フォームのことになってくるんですけど、すごく運動連鎖がしっかりしているというか。投げ方がすごくいい。思い切り投げるように見えないけど、割と力が入っている。2軍コーチの大隣なんかもそうだったですよね」

数値にも表れる。「トラックマンを見ると回転数がかなり多いと思うので、打者も押され気味ですし」と井口資仁監督(46)は明かす。実際に相手の打球から勢いを消していた。「今は変化球でかわす投球というより、彼の持ち味のまっすぐでどんどん押していって。あまり技巧派にならないで、しっかりとまっすぐ投げきってほしい」と成長を願っている。

1軍先発陣は美馬、石川、二木、小島、岩下は当確で、残り1枠をめぐり中村稔、ルーキー鈴木、大嶺らが争う。井口監督は本前も先発左腕候補として捉える。「ローテーションに入れるくらいまで頑張ってほしい」と期待は大きい。経験を深め、信頼を勝ち取り、背番号120を実力で軽くできるか。次回は2軍教育リーグでイニングを延ばす予定だ。【金子真仁】

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