ソフトバンク小久保裕紀新監督(52)が23日、福岡市内のホテルで就任会見を行った。3年契約とみられ、背番号は2軍監督時代と同じ90に決まった。所信表明では、プレーの美しさやグラウンドでの振る舞いなど「美意識」の必要性を強調。対面したナインにも「勝利の女神は細部に宿る」と訓示した。1989年(平元)の福岡移転後初のホークス生え抜き監督が、4年ぶりV奪回と常勝軍団復活に全力を尽くす。

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ホークスの監督就任会見。小久保新監督は紺色の球団スーツにビシっと身を包み、きっぱり言った。「強い、勝つチームは大切だと思うんですが」と切り出し、3年連続V逸したチームにこう指摘した。「美しさ、美意識と言っていいもいいと思うんですが、そこが一番、今は欠けているんじゃないかと」。

2軍監督を2年間務め「下から上を見る景色」で感じたチームの課題。「ともに歩む首脳陣や選手たちと『いかに美しくあるか』ということを、お互いの共通認識として持ち合わせながらチームをつくっていきたい」。スター街道を歩んできた小久保流の所信表明だ。3年とみられる契約期間で、常勝復活を目指す。

小久保監督が思う美しさとは。「美しさは定義というか主観の問題。各自が持っていたらいい」とした上で具体例を挙げた。「見た目を含め、グラウンドでの振る舞いやインタビューの受け答え。そういうもの全てそこ(結果)につながってくると思う」。戦力課題は「先発投手の整備が一番」と危機感を持ちながら「それよりも先ほど申し上げた美しさと言いますか、ファンに愛されるチーム、球団、選手であるべきだと思う」と繰り返し強調した。

会見終了後は、来季も背負う2軍監督時代の背番号「90」を付けてペイペイドームの秋季練習を視察。冒頭のナイン、スタッフへのあいさつでも「この2年間、あと1勝だった。何をしたら勝てるのかというと、やっぱり『勝利の女神は細部に宿る』ということ。普段からの振る舞い、言葉遣い、礼儀。そういうところが最後は間違いなく勝敗に直結する」と熱弁した。記者会見でも選手の前でも一貫した信念を語った。

チームは昨季、優勝マジック1としながらV逸した。今季は総額80億円に上る大型補強も、2位に勝率1毛差で3位に転落。ロッテとのCSファーストステージでも、延長10回に3点を勝ち越しながらその裏4失点で悪夢のサヨナラで終戦。小久保監督は、あと1勝が届かなかった理由は技術以外にあるとし、チーム全体で共有する考えだ。「目標はパ・リーグ優勝、日本一。それ以外ないので。とにかくそこを目指します」。新生小久保ホークスは、意識改革から4年ぶりV奪回に突き進む。【只松憲】

 

◆小久保裕紀(こくぼ・ひろき)1971年(昭46)10月8日、和歌山県生まれ。星林を経て、青学大では92年バルセロナ五輪で銅メダル。93年ドラフト2位でダイエー入団。95年本塁打王、97年打点王。03年オフに無償トレードで巨人移籍。06年オフにFAでソフトバンクに復帰し、12年現役引退。通算2057試合出場で2041安打、413本塁打、1304打点、打率2割7分3厘。現役時代は182センチ、87キロ。右投げ右打ち。13年10月から17年第4回WBCまで侍ジャパン監督。20年オフにソフトバンク復帰。21年は1軍ヘッドコーチ、22年から2軍監督を務めていた。

 

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