大相撲の新大関高安(27=田子ノ浦)が5日、東京・江戸川区の所属部屋で稽古を再開し、名古屋場所(7月9日初日、愛知県体育館)に向けて本格始動した。相撲は取らずにウオーターバッグを使った体幹トレーニングなど軽めの運動で調整。この日までに複数のテレビ番組に出演し、著名人と出会う中、今最も会いたい人物に男子テニスの錦織圭を挙げた。

 新大関になっても高安は、いつもと変わらない心境だった。名古屋場所に向けた本格始動。ウオーターバッグを使ったトレーニング、若い衆とのぶつかり稽古、最後に数回四股を踏んで汗を流した。新大関としてあらためてスタートを切ったが「変わらないですよ。いつもと流れが違うわけではないですからね」と淡々とした表情で話した。当面は体幹強化を優先していく。

 千秋楽明けからこの1週間で、テレビ番組に数本出演した。各局のアナウンサーや著名人と会った。今まであまりなかった他分野の人との出会い。この日「では、今一番会ってみたい人は」と報道陣に問われると「錦織さんですかね」と答えた。「コートを縦横無尽に走るし、テニスってハードですよね。個人競技に興味がある。どういうことを考えているのか」。競技時間は違えど、相撲も土俵の上では1人。新しい地位に就いたことで、心構えも変わってくる。世界を舞台に戦う同学年は、どういう心境なのかを知りたがった。

 これまではしこ名で呼ばれていたが、横綱、大関になると地位で呼ばれる機会が増える。「慣れていないですね。まだ反応できない」と苦笑いを浮かべ、初々しい様子だった。しかし「下手な相撲は取れない」。すでに大関としての自覚は持っていた。【佐々木隆史】