2年3カ月ぶりの出稽古解禁から1週間がたった13日、東京・日本橋にある荒汐部屋に、関脇阿炎(28=錣山)、平幕の霧馬山(26=陸奥)と北勝富士(29=八角)の関取衆が出稽古に参集。荒汐部屋の関脇若隆景(27)、その兄で平幕の若元春(28)らが迎え入れる形で稽古を行った。

関取衆5人による約1時間にわたる、熱のこもった申し合い稽古で、若元春は出稽古に来た3人と9番(4勝5敗)取った。これまでの実績からは“格上”相手の稽古に「役力士ばかりで(みんな)強いですよ。弟(若隆景)にも歯が立たない。ちょっと一矢報いれればなと(笑い)。イマイチですね」と言葉とは裏腹に楽しそうに話した。

出稽古解禁の“朗報”にも「関取が1人しかいない部屋が(出稽古で他の関取と)稽古出来るようになるので(関取が複数いる自分の部屋の)アドバンテージが消えるのかな。僕は出稽古禁止中に番付を上げてきたので、隙を突いて(笑い)」と笑いに変えた。

今年1月の初場所で新入幕を果たすと、5月の夏場所まで3場所連続9勝6敗と地力を発揮。名古屋場所(7月10日初日、ドルフィンズアリーナ)では、上位総当たりとなる前頭3枚目前後への番付アップが予想される。それでも「ずっと幕内に上がった時から、上のお相撲さんとやってる、っていう感じで取っている。だから勝てなくてもともと」と番付を特別に意識することなく、地力をつけてきた。三役も目前の番付だが「目の前にあっても見えないですよ、僕は(笑い)。今の場所(番付)しか考えてないので」と自然体を押し通す。チャレンジャー精神か? という問いに「もちろん、ずっとそうです。僕は(幕内に)上がって1年もたってないので。上で何年も取ってきた人たちとやるのは光栄だし、胸を借りるつもりでやってます」と、これまで通りを貫く構えだ。

その三役昇進も狙える名古屋場所に向けて「楽しみは楽しみ。思い切り当たれればOKみたいな気持ちで臨むだけなので、ワクワクはしているかもしれない」。30年ほど前、社会現象も巻き起こすなど相撲界に空前の大フィーバーを巻き起こした若貴ブーム。その時以来の兄弟同時三役の期待もかかるが「期待されてないんじゃないですか? 今いる番付が自分の最高だと思って、最高の相撲を取りきるだけです」とノラリクラリも、若元春らしいキャラ全開。「まだまだ全然(弟若隆景の)バーターですよ、優勝されちゃいましてバーター感、強まりましたよ」と笑って返した。