インタビュー後のフォトセッションで笑顔を浮かべるへイリー・スタインフェルド(撮影・河田真司)
インタビュー後のフォトセッションで笑顔を浮かべるへイリー・スタインフェルド(撮影・河田真司)

14歳で出演した米映画「トゥルー・グリッド」(10年)でアカデミー賞にノミネートされて以来、ハリウッドの新星として注目されてきたヘイリー・スタインフェルド(22)が主演作「バンブルビー」の22日公開に合わせて来日した。トップ女優の仲間入り目前の彼女に話を聞いた。

-「トランスフォーマー」シリーズ最新作の今作ではフォルクスワーゲン(VW)ビートルが変形した地球外生命体との共演です。相手抜きの撮影にもかかわらず、「友情」が自然に伝わってきました。

「そう見えたのならうれしいですね。実は過去の『トランスフォーマー』シリーズは全部見て研究したんですけど、実際に撮ってみると、想像とはまったく違いました。物理的には一緒に森の中を走ったり、海岸で隠れるシーン。何もない空間にそれがあるように動くのは本当に難しかった。気持ちを通わせるシーンはもっと難しい。いない相手に思いを伝えるのがこれほどたいへんだとは思いませんでした。過去の作品に出ていた俳優さんたちの偉大さを痛感させられました」

-劇中ではさまざまな体験を通してヒロインが「大人」に成長します。あなた自身も大人の落ち着きを身につけたように見えます。

「女優として成長したってこと? 現場で悪戦苦闘したからかしら(笑い)。(トラヴィス・ナイト)監督は『KUBO』(17年=三味線弾きの少年を主人公にしたアニメ映画)を撮った人だから、シリーズはもちろん、その発祥地の日本に対する理解がものすごく深くて、キャストそろって迷いなく進めた気がしました。できあがった作品を見て私自身にも達成感がありましたから、きっとそのせいでひとまわり大きくなれたんだと思います」

-出身地で現在もお住まいのカリフォルニアが撮影の舞台となりました。

「私自身の体験と重なるところはまったくなかったんですが、ロケ地として美しいし、週末は家族のところに帰って過ごせたので、撮影がたいへんだった分、そこでリラックスできたのは良かったですね」

-女優のスタートはコーエン兄弟監督の「トゥルー・グリッド」。1万5000人のオーディションから選ばれ、同じ14歳で「タクシードライバー」に出たジョディ・フォスターになぞらえられました。

「光栄でしたね。すでに(主演の)女の子は決まっているという情報があって、最終グループだった私の本読み試験は形式的に行われていると思っていたんです。だから、その2週間後に飛行機に乗せられて現場に向かっているときは夢のように感じました」

-アカデミー賞にノミネートされる出来栄えでした。

「初めての映画でいきなりでしょう。出られただけでラッキーなのに、もう最高の気持ちでした。あれがその後の女優業の重荷に、とよく言われるんですけど、私にとってはとっても励みになる出発点なんです。あの時の信じられないような感覚は今も続いているんです」

-あれから9年。順調にキャリアを重ねられているように見えますが。

「幸い作品に恵まれている方だとは思いますし、熱意だけは負けませんが、これでも『絶対やりたい!』って思った作品のオーディションで落とされたこともあるし、特に2人のどちらか、というところまで行ってダメだったときは本当に落ち込みます。それでも何事も成るべくして成ったと、自分には落ちる理由があったんだ、と言い聞かせるようにしています」

-オーディションに臨む心得のようなものはあるんですか。

「何でもできますよっていう顔をしますね(笑い)。本当はできなくてもできるふりをして、その場で何とか対応します」

-そもそも女優を志したのはいつでしょうか。

「もともと周りの人を楽しませるのが大好きな子どもだったので、実は8歳の時に親の前で『私は女優になる!』と宣言したんです。あの頃はすぐにテレビの中の人になれると思っていたんですけど、ちょっと時間がかかりましたね」

-「スウィート17モンスターズ」(16年)でのみずみずしい演技も印象に残りました。あのときは19歳で高校生を演じました。今回は22歳でやはり高校生。日本では30歳近くまで高校生役を演じる人もいますが、あなたはいつまでやる自信がありますか。

「2つの観点があると思います。10代を演じることに全然抵抗がないので、求められるのならば30歳を過ぎてもやりますよ(笑い)。もう1つの観点は、私自身少しは人生経験を積んできたつもりなので、もう少し上の設定も演じてみたいという欲求があります」

-女優としての岐路、難しい年齢に差し掛かったということでしょうか。

「確かに微妙な立ち位置にいます(笑い)。その分いろんな役柄に挑戦できる年齢だとも思います。今回も初めてのSFアクション。とってもワクワクできました。30歳が近づいてきたら、母親役にも挑戦してみたいですね」

間近で見ると、劇中よりは大人びているが、はにかんだ表情に時折「少女」がのぞいた。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

インタビュー後のフォトセッションに応じるへイリー・スタインフェルド(撮影・河田真司)
インタビュー後のフォトセッションに応じるへイリー・スタインフェルド(撮影・河田真司)

◆ヘイリー・スタインフェルド 1996年12月11日、米カリフォルニア生まれ。11年にはmiumiuのモデル。13年にはタイム誌が「もっとも影響力のあるティーン16人」に選出。14年にはジブリアニメ「思い出のマーニー」の英語版に声の出演をした。歌手としては17年に「レット・ミー・ゴー」をリリース。公開中のアニメ映画「スパイダーマン スパイダーバース」にも声の出演をしている。

「バンブルビー」の1場面 (C)2018ParamountPictures.AllRightsReserved.
HASBRO,TRANSFORMERS,andallrelatedcharactersaretrademarksofHasbro.
「バンブルビー」の1場面 (C)2018ParamountPictures.AllRightsReserved. HASBRO,TRANSFORMERS,andallrelatedcharactersaretrademarksofHasbro.