ディズニーにクリエーティブ面で多大な貢献をした人物に贈られる「ディズニー・レジェンド」を受賞したロバート・ダウニー・Jrが、23日にカリフォルニア州アナハイムで開催されたディズニーの公式ファンイベント「D23 Expo」で行われた授賞式で、過去にディズニーランドで大麻を吸って逮捕された衝撃の過去を自ら暴露しました。夢と魔法の国ディズニーランドで大麻を吸って捕まったことを、ディズニー・レジェンド授賞式のスピーチで明かすとはダウニー・Jrらしいジョークとも言えますが、違法薬物で過去6回の逮捕歴があるダウニー・Jrにとって、「アイアンマン」(08年)が人生の転機となった作品でもあるのです。

他に「アイアンマン」シリーズや「ライオン・キング」(19年)で監督を務めたジョン・ファブローやベット・ミドラー、クリスティーナ・アギレラら総勢12人が受賞した今年の授賞式に登壇したダウニー・Jrは、「初めてディズニーランドを訪れた日に、許可なしに大麻を吸って捕まったんだ。どこか別の場所に連れていかれたんだけど、その人たち(捕まえた警備員)は驚くほど優しかった。テーマパーク内で大麻を吸ってもいい許可ってあるのかな?」とユーモアを交えた告白に、集まった7000人の観客からは驚きと共に大きな笑いが起こりました。

その後はずっと後悔してきたことも告白し、「(警察の)処理センターで厳しい警告を受けて、その後はとても落ち込んでいるグループの引率者のもとに連れ戻された。これまでずっとそのことを恥ずかしく思ってきたけど、今夜公表することにしました」とスピーチ。薬物依存からの完全復活を遂げるきっかけとなった「アイアンマン」で主人公トニー・スタークことアイアンマン役に大抜擢された際に、「波乱万丈のキャリアがキャラクターに深みを与える」とファブロー監督が後押しをしたと伝えられていますが、まさに型破りでユニークなヒーロー、アイアンマンはダウニー・Jrにとってハマり役となり、その後の「アイアンマン」や「アベンジャーズ」シリーズを大ヒットに導く立役者となったことは周知の事実です。

日本に比べて違法薬物に関する犯罪に対して寛容だと言われるハリウッドでは、「セカンドチャンス」が与えられることも珍しくありませんが、まさに映画監督だった父親の影響で幼い頃から大麻をはじめとする違法薬物やアルコールに手を染め、96年から2003年に完全に薬物使用を止めるまで6回逮捕されているダウニー・Jrにとっては、「アイアンマン」のオーデョションでスタジオ側が起用に難色を示す中で、圧倒的な演技力と存在感を見せて見事に役をつかみ取ったからこそ、今があると言うことなのでしょう。

今夏大ヒットした「アベンジャーズ」シリーズ最終章「アベンジャーズ/エンドゲーム」のラストではスタークの死が描かれており、アイアンマンとお別れになったダウニー・Jrにとってこの告白はある意味自然な流れだったのかもしれません。その後のスピーチでは、「トニーをこんなにも長く演じることができ、テクノロジーが人類にとって啓発になることもあれば、逆に破壊に導くこともできるという非常にやりがいのあるテーマを語ることができ、それは素晴らしい贈り物でした。2008年からずっとそれを実現させてくれたファンの皆さんのおかげです」と締めくくっており、今後アイアンマンに代わる新たなハマり役と巡り合えることを多くのファンが期待した瞬間でもありました。【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)