フリーアナウンサー小林麻耶(40)が現在、女優業に挑戦中だ。初出演となった舞台「罪のない嘘~毎日がエイプリルフール~」(東京・有楽町のヒューリックホール東京ほか)で、これまでにない自分を舞台上で表現してみせる。人気アナ時代や新婚生活、女優業、そしてこれからについて聞いてみた。

★教員免許所持も「恋から」で進路変更

「罪のない-」で小林が演じるのはジャニーズのユニット、ふぉ~ゆ~辰巳雄大(33)の母親役だ。

「アナウンサー役とか、フジテレビ『スカッとジャパン』で、ぶりっこOL役をやったことはあるんですが、舞台で演技というのは、初めて。セリフをかんだところで笑いにしてくださったり、今なんて言った? という風に聞いてくださったりするのでなんとかなっています(笑い)」

33歳の辰巳と母と子を演じている。

「7歳違うんですが、親子に見えますかね。45歳くらいで若く見える母という設定で、衣装とかもなるべくお母さんに見えるように考えてもらいました。セリフは、すぐに覚えられたんですが、感情を込めてが難しい。アナウンサーの仕事だと、先のことも全て頭に入れて進行していくことが多い。だけど舞台の演技は、先のことではなく、その瞬間を演じなければならない。脳の使い方と体の使い方が全く違うので、そこが大変です」

青学大在学中の01年、明石家さんま(64)がMCを務める日本テレビ系「恋のから騒ぎ」のレギュラーを務めた。

「大学2年の学園祭で声をかけられたのがきっかけ。さんまさんは、私たちメンバーとプライベートな話は一切、しない。収録が始まるまで、お会いできないですし、収録終わったらサクっと。一言も話せないで、お疲れさまでしたくらいなんですよ。ずっと緊張感はありました」

中学と高校の英語の教員免許を持っている。「恋の-」出演が進路を変更させた。

「さんまさんの番組に出て、テレビのスタッフさんが番組にかける愛情と一生懸命さに感動して、テレビ局で働きたいと思うようになりました。試験が一番早いのがアナウンサーだったので調べていくうちに、すごく魅力的な職業だなと思うようになりました」

TBSに入社。まややの愛称で売れっ子アナになるのに、時間はかからなかった。

「すごく充実してました。アナウンサーだからこそやれることだったり、行ける場所だったりとか、自分の世界がとても広がって成長につながりました。睡眠時間3時間とかもありましたが、楽しかったですね。でも20代だからこそ、あれだけ働けたんだと思います。今だったら多分眠くて言葉が出てこない(笑い)」

超人気のアイドルアナウンサー。それでも会社員であることに代わりはない。電車通勤した。

「車両を変えたり、途中駅で降りたりしたのですが、TBSから家の方までついて来られたりも。写真撮影は、先輩から、視聴者の方々あってこそのテレビだからプライベートでも写真を撮りたいと言ってもらえたら撮るんだよと教えてもらっていました。今はもう変わってるかもしれません」

TBSを退社してフリーに。一昨年7月には整体師でタレントとしても活動する、あきら。(36)と結婚した。

「結婚して1年半。けんかは1度もないです。幸せな生活をさせていただいてます。常に穏やかで優しいですし、かわいらしい。ずっと話を聞いてくれて、愛する人がそばにいてくれることの安心感とありがたさを感じています。大切な人がずっと目の前にいてくれるとは限らないし、自分の命がずっと続くとも限らない。1日1日を大切に一緒に生きていきたいと思っています」

★整体師と「交際0日婚」世間驚かせた

「交際0日婚」だったことも世間を驚かせた。あきら。の施術を受けたことがきっかけだったという。

「ボディーセラピストの先生だったので、お客として行ったのが始まりです。それで2カ月半くらいでプロポーズをされたので、プライベートで2人で遊んだことが1度もなかった。施術中は寝ちゃっていたので、根掘り葉掘りパーソナルなことって聞かないですよね(笑い)。結婚してから、いろいろ知っていくことが多かったので、毎日が発見という感じ。ああ、この食べ物が好きなんだ、この食べ物が嫌いなんだ、ああ、こういうおっちょこちょいなところがあるんだ、と」

いわゆる主婦業については「まだ見習い中」という。

「初心者マークをガンガンにつけてる状態です(笑い)。1年前から、これではいけないと思って料理教室に。しかも、夫も一緒に通ってくれて、2人で。料理教室に行く時間も、料理のレッスンの時間もデートみたいに楽しい。そうやって楽しい時間の中で料理を覚えたので、料理が苦手じゃなくなった、楽しくなってきた。得意料理は…ハンバーグ! 夫にも、おいしいねって言われました。でも夫が器用で、何を作るにしても上手。2人でキッチンに立つのがすごく好きで、結局、『家チューボーですよ』状態(笑い)。巨匠! って。あきら巨匠に渡して、あきら君が全部作ってくれる(笑い)」

年下の夫は優しい。傷ついた心も癒やしてくれるようだ。昨年のクリスマスイブは、ケーキを3個買ってきてくれた。17年6月に34歳で亡くなった、妹の小林麻央さんの分もだ。

「箱をあけたら3個入ってて、麻央ちゃんと一緒に食べようって。私のとても大切な妹を大切に思ってくれるって、すごくありがたい。本当に優しい、怒ることがないんですよ。だから、怒らせたら、もうおしまいと思います(笑い)」

現在は生島企画室に所属する。アナウンサーとして、TBSの大先輩である生島ヒロシ(69)が会長を務める会社だ。

「パワフルでエネルギッシュ、69歳には到底見えない。毎日、早朝のラジオ番組をやられていて、夜まで元気という。速いテンポで、大きな声量で話されるので、どうなってるんだろうと。生島ヒロシさんが7人くらいいるんじゃないかなって(笑い)」

アイドルアナも40歳になった。

「人生100年時代といわれてますから。半分というか、折り返してもない。人生は1度きりしかないし、本当に、いつどうなるか分からないというのを、心の底から思っているので、1つ1つを大切に、それこそ一期一会じゃないけども、一瞬一瞬を大切に生きていくことで、人生を歩んでいきたい。だからこそ、挑戦したいと思うようになったし、人生を彩り豊かにしたいなと思えるようになったので、今回も舞台に挑戦することができました」

舞台は3月まで続く。再充電した4月からは、資格取得にチャレンジする。

「まだ、何かわからないんですけど。資格を取って、人を幸せにするために、生きる人生にしてみたいです」

その笑顔が、幸せを運んでくれる。【小谷野俊哉】

▼生島ヒロシ

麻耶ちゃんが今、舞台女優の仕事に一生懸命に取り組んでいるのを、とてもうれしく思っています。その笑顔は周りの人を幸せにしてくれます。40歳になりましたが、僕は人間の可能性というものは、いくつになっても無限に広がっていると思う。確かな経験に裏打ちされたアナウンサーとしての力量、そして天性の明るさ。これから、もっといろいろなものを吸収して、どんどんチャレンジしていってください。つらくても笑顔で立ち向かう。それが、みんなを幸せにしてくれると思う。僕も“応援団長”として頑張ります。

◆小林麻耶(こばやし・まや)

1979年(昭54)7月12日、新潟県小千谷市生まれ。青学大文学部在学中の01年に日本テレビ系「恋のから騒ぎ」レギュラー。03年にアナウンサーとしてTBS入社。04~09年「チューボーですよ!」。09年TBSを退社してフリーに。09~10年、TBS「総力報道!THE NEWS」キャスター。14~16年フジテレビ「バイキング」。18年7月に結婚。趣味はドライブ、料理、英会話。157センチ。血液型A。

◆舞台「罪のない嘘~毎日がエイプリルフール」

作・三谷幸喜、演出モトイキシゲキ。借金を抱える鏑木(佐藤B作)は数日前に売ったマンションに忍び込むが、持ち主が帰宅してピンチに。東京公演は19日まで。以降は大阪、広島、福岡、北九州、名古屋で上演。

(2020年1月12日本紙掲載)

新しい事に挑戦も始め、外で「気持ちいい~」と手を広げて笑顔を見せる小林麻耶(撮影・浅見桂子)
新しい事に挑戦も始め、外で「気持ちいい~」と手を広げて笑顔を見せる小林麻耶(撮影・浅見桂子)
新しい事に挑戦も始め、外で「気持ちいい~」と手を広げて笑顔を見せる小林麻耶(撮影・浅見桂子)
新しい事に挑戦も始め、外で「気持ちいい~」と手を広げて笑顔を見せる小林麻耶(撮影・浅見桂子)