梅ちゃんねる

試練の春ドラマ…放送中の作品見応えあり/一挙採点

コロナ禍の撮影ストップで、新作ドラマのスタート延期や放送中断に見舞われている春ドラマ。オンエア中、中断中の作品を見る限り、いつになくバラエティー豊か。久々にどれも星3つ以上で見ごたえがあると感じただけに、タイムテーブルの現状に心が痛む。「勝手にドラマ評」42弾。今回はNHKや深夜枠にも対象を広げ、単なるドラマおたくの立場から、これまで通り勝手な好みであれこれ言い、★をつけてみた(シリーズものは除く)。

◇   ◇   ◇

フジテレビ「SUITS/スーツ2」(C)フジテレビ
フジテレビ「SUITS/スーツ2」(C)フジテレビ

◆「SUITS/スーツ2」(フジテレビ、月曜9時)織田裕二/中島裕翔/鈴木保奈美

【2話で中断中】

★★★★★

米ドラマのリメークで、2年ぶりの続編。アメリカンなジェスチャーや倒置法ジョークなどの海外ドラマ感がいい意味で月9風にブラッシュアップされ、キャラも世界観も板についてかっこいい。かつて甲斐(織田裕二)とチカ(鈴木保奈美)が追い出した共同代表(吉田鋼太郎)が復帰。個々の案件に派閥争いがからむパワーゲームがギラギラと動きだし、2話の看護師労使交渉で勝ちをもぎとった甲斐の豪腕をわくわくと見た。ボストン帰りで自信をつけた大輔(中島裕翔)のスーツ姿も見違えるだけに、社内恋愛より高IQの発動を見たい。2話で中断しているが、話数拡大で7月までという当初のチャレンジも納得の仕上がり。

テレビ東京「行列の女神~らーめん才遊記~」(C)テレビ東京
テレビ東京「行列の女神~らーめん才遊記~」(C)テレビ東京

◆「行列の女神~らーめん才遊記~」(テレビ東京、月曜10時)鈴木京香/黒島結菜

★★★★☆

ラーメン業界のカリスマコンサルタント(鈴木京香)が、経営難のラーメン店を改革。元気印の新卒女子、ゆとり(黒島結菜)を雇うまでの展開がうまく、味だけでは繁盛しないコンサルティング業のノウハウが新人の成長とともに無理なく描かれる。「とぼとぼ(散歩するおじいちゃん)」「ふむふむ(と芸術的なよそよそしさ)」など、ダメなラーメンの味を独特の表現で見抜くゆとりの馬力と、若い才能をうまく使ってカリスマの座に磨きをかける鈴木京香のタフさが痛快な後味。それだけに、いつもラーメン残しっぱなし、長髪を束ねない女性社員、食べ方が汚いキャストなど、細部にリアリティーがないのは戸惑う。

◆「レンタルなんもしない人」(テレビ東京、水曜深夜0時12分)増田貴久/比嘉愛未

★★★★☆

花見の場所取り、ゲームの人数合わせなど、人間1人欲しい時に来てくれる「レンタルさん」の仕事をドラマ化。レンタルさんはあくまでも傍観者で、描かれるのは依頼人の人生。「東京最後の1日に付き合ってほしい」「離婚届の提出に付き合ってほしい」など、依頼に込められたそれぞれの人生に1話完結の見ごたえがあり、後腐れのないひとときから生まれる新たな1歩に共感できる。なんもしないがスッとその場になじむレンタルさんにNEWS増田貴久が超絶はまり、「毎日そんな悪いもんじゃない」の考え方に励まされる。毎回雑誌を売りつけてくる中年ホームレスとのくだり。しぶとく生きる人となんもしない人の奇妙な友情もいい。

日本テレビ系「ギルティ~この恋は罪ですか?~」(C)YTV
日本テレビ系「ギルティ~この恋は罪ですか?~」(C)YTV

◆「ギルティ~この恋は罪ですか?~」(日本テレビ系、木曜11時59分)新川優愛/町田啓太/小池徹平

【3話で中断中】

★★★★☆

夫が親友と浮気。そんな時に高校時代の元カレと再会し、初恋が再燃。メンタルが自立したヒロインなので、ドロドロな展開に一定の筋道があり、心の動きをきちんと追える。1話で幸せに暗雲、2話で夫の不倫を暴き、3話で直接対決。ムダに話を引っ張らず、ヤマ場の連続でつい見入る。夫を寝取った親友を「あんたは部外者なの」とこき下ろすタフな鼻っ柱や、号泣して夫を責める逆上シーンなど、新川優愛はこんなにうまかったのかと思う。軽蔑してきた母親のようになっている自分におののき、初恋の人の前でぼろぼろ泣く川沿いのシーンにキュンとした。町田啓太の「こっち見ろ、大丈夫だから」が尊い。放送再開が待たれる。

◆「家政夫のミタゾノ」(テレビ朝日、金曜11時15分)松岡昌宏/伊野尾慧/飯豊まりえ

【2話で中断中】

★★★☆☆

シリーズ4作目。新加入した飯豊まりえのマイペースキャラが適材適所で、ミタゾノ濃度高めのストーリーが機能してわくわく。1話は政治家のお宅を崩壊させ、家族の隠れた汚れを荒療治するミタゾノ流がネチネチとはまった。上級国民、ガラケー女、反社、公文書破棄などの時事ネタと「早めにもみ消す洗濯テク」などの家事ネタがリンクする作風が今回も上等。外出自粛、在宅ワークで「家」がポイントとなるご時世だけに、家事を通した怪ドラマの底ぬけ感に救われる。テレワークで続けてくれないかと思ったら、とっくに「ステイホーム ミタゾノさんスペシャル動画」で「縫わないマスクの作り方」などの家事情報を配信していてさすが。

NHKよるドラ「いいね!光源氏くん」(C)NHK
NHKよるドラ「いいね!光源氏くん」(C)NHK

◆「いいね!光源氏くん」(NHK、土曜11時半)千葉雄大/伊藤沙莉

★★★★★

現代にタイムスリップした光源氏が、OL宅に居候。奇抜ウケかと思ったら、価値観の違いや主人公の人柄が平凡OLにうまく作用し、爆笑と成長と切なさのすてきなラブコメに。お茶がおいしいとほほ笑む源氏、烏帽子(えぼし)を梁(はり)にぶつける源氏、感動するとキレッキレの歌を詠む源氏。やんごとない育ちの素直さが、カワイイ系イケメン千葉雄大のふんわりした流し目に宿り、無意識に人を引きつける真のプレイボーイ像が新鮮。活躍がずば抜ける伊藤沙莉が脇役人生OLの悲喜こもごもを魅力的に演じ、千葉雄大との掛け合いもばっちり。コメディーからのセンチメンタルに応援しがいがある。4話で頭中将(桐山漣)登場の流れもうまい。

フジテレビ系「隕石家族」(C)フジテレビ
フジテレビ系「隕石家族」(C)フジテレビ

◆「隕石家族」(フジテレビ系、土曜11時40分)羽田美智子/泉里香/北香那

★★★★☆

隕石(いんせき)衝突まであと半年の地球を舞台に、残された日々を駆け抜ける門倉家のホームコメディー。「残り半年は好きな人といたい」と家出したお母さん、久美子(羽田美智子)のぷっつんをきっかけに、家族だから言えなかったそれぞれの秘密が次々と。マザコン夫が原稿用紙にぶちまけた本音、地球滅亡なのに次女が予備校進学、おばあちゃんが60年抱えたつらい記憶など、毎週の全力告白に笑いと涙があり、誰かのトンデモが結果的に誰かを救っているテイストがいい。日々ニュースで更新される隕石との距離、疎開案、商品の品薄など、今の社会情勢と重なる偶然に心穏やかではいられないが、日々を大事に生きようと思える不思議な勢いがある。

日本テレビ「美食探偵 明智五郎」(C)NTV
日本テレビ「美食探偵 明智五郎」(C)NTV

◆「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ、日曜10時半)中村倫也/小芝風花/小池栄子

★★★☆☆

美食の名探偵、明智五郎の活躍。ちくわさえもエレガントに食すセレブキャラに中村倫也が合い、ジャムや食器などのグルメ知識から謎を解く基本設計は分かりやすい。美食殺人鬼マリア(小池栄子)とのちょいエロなサスペンスも各話を引っ張るが、作品全体がまとまりに欠けるのが残念。せりふも演出も原作マンガ通り。2次元だからはまるテイストをそのまま3次元の皿で出されると、コメディーとサスペンスのバランスの悪さに戸惑う。演出に応えてひたすら騒々しい助手の小芝風花が悪目立ちしてかわいそう。登場人物全員濃い味。主人公のすごさをガイドする普通の人がいないので、小芝風花はむしろその方向で機能させてほしかった。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)

東京都生まれ。主に芸能面、社会面を担当し、主なスクープに小泉今日子結婚、広末涼子結婚など。やや辛口のコラムでやや知られ、テレビおたく、ドラマファンの立場から2010年より紙面等で「勝手にドラマ評」を展開。好きなドラマは「淋しいのはお前だけじゃない」、映画は「太陽を盗んだ男」。超方向オンチ。

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