9月28日スタートの次期NHK連続テレビ小説「あさが来た」(土曜午前8時)のスタジオ収録が2日、NHK大阪放送局でスタートし、佐野元彦チーフ・プロデューサー(CP)いわく「朝ドラ史上最も裕福な」ぜいたくセットが公開された。

 ヒロインの波瑠(23)、その姉役で豪華セットで知られる大河ドラマ「篤姫」主演経験もある宮崎あおい(29)は、ともに「このセット、ほんとに立派…すごい…」と奥行きの広さに絶句。波瑠は「きれいな着物を着せてもらって、すごく華やかな気持ちになりますし、やはりテンションも上がりますね」とスタジオのセットを見渡した。

 物語は波瑠演じる江戸末期の豪商に生まれたヒロインと、玉木宏(35)ふんする両替商の息子との愛や奮闘を描く。

 朝ドラ史上初めての幕末スタートで、制作側によると「過去に例がない豪華セット」が売りの1つだ。

 通常、大阪局制作の朝ドラ収録では、1つのスタジオにつき、カメラに映り込まないようにヒロインの家、職場などと分けて、2パターンの収録ができるようにセットが組まれるが、今回は「1杯(1スタジオ)全部が、今井家(ヒロイン宅)の設定」(スタッフ)という。

 佐野CPは「ばらして作り直す来週分のセットと2回分でやっと、今井家のセットが完成する」と明かした。つまり、2週分のセットで、やっと今井家が完成する仕組みで、番組スタッフによれば、使用のべ面積では「過去朝ドラの4~5倍のセット量。普段が2LDKとすれば、10LDKぐらい」になるそうだ。

 制作費は「秘密」だそうだが、単純に人件費、セット費用を考えても相当な額になる。佐野CPは「おそらく朝ドラ史上最高…かなあ」と笑った。

 佐野CPは、宮崎あおいが主演した大河ドラマ「篤姫」も担当しており、今回は設定が幕末で、ぜいたくセット、豪商の娘がヒロインで裕福な衣装とあって、キャッチフレーズは「大河級の朝ドラ」だ。

 そんな“ぜいたくざんまい”に波瑠は「庶民の…ほんとにほんとに庶民の生まれなので…」と恐縮しつつも、きれいな着物にはニッコリと笑顔。大河級セットには「すごい」と感心した宮崎あおいだが、篤姫当時の衣装よりは「(篤姫は)本当にすごかったんで…」と、臆した雰囲気はなかった。

 まばゆい衣装の美女2人が豪華セットで収録をスタート。ヒロイン相手役の玉木は、侍を演じた経験はあるが「両替商のボンボンは初めてなので、行儀よくと心がけつつ、(洒脱(しゃだつ)な)抜け感をしっかり出していきたい」と、役作りに没頭している様子だった。

 その隣で、玉木の父親役を演じる近藤正臣(73)は「セットも『これはええなあ~』と思うたけど、私はやっぱりこっち(美女2人)の方がええ。白塗りしたら、舞妓(まいこ)そのものやんか」。京都出身らしく、華やかさを助長する波瑠、宮崎あおいをたたえた。

 ヒロインの母役は寺島しのぶ(42)、父役が升毅(59)。寺島は「照明も自然光そのものな感じで、NHKさんのモチベーションの高さを感じます」。好調な朝ドラの勢いをさらに伸ばそうと、力を入れる制作スタッフの熱意に感心した様子。升は「この家(セット)は私の物です」と偉ぶって答え、近藤から「ちゃうわ、来週には私(役柄の両替商)の家になんねん」とつっこまれていた。

 スタジオ収録初日となったこの日は、婚礼を2日後に控える中、ヒロイン宅にいいなずけ(玉木)が父(近藤)ともに訪ねてきた場面などを収録した。