コカインを摂取したとして、麻薬取締法違反の罪に問われたミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名・瀧正則)被告(52)が18日、東京地裁で懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡された。

小野裕信裁判官は判決を言い終えて、量刑について説明を始めた。そのうち、5分強は“説諭”した。執行猶予がつくことは温情ではなく、常に刑と背中合わせのリスクを背負うことを強調し「有名人だからことさら重くしたことも、手心を加えたこともありません」と瀧に話した。

さらに「あなたが立ち直るために何が必要か、改めて調べる中で、1点引っかかったことがあるので、確認したい」と述べて、証拠の1つと思われる写真を瀧に見せた。小野裁判官は「その中にある漢字2文字が気になった。言葉にしていいですか?」と確認すると、瀧被告は「はい、どうぞ」。そこには「人生」と習字で書かれたものが貼られていたとみられる。

なぜ「人生」という言葉なのかは定かではないが、相方の石野卓球らによる、電気グルーヴの前身にあたるバンド名は「人生」だ。小野裁判官は「あなたの活動を調べて、インディーズ時代から何度も出てくる言葉だと分かりました。きっと(当時)仲間と音楽を楽しんでいたのだと想像します」。

さらに小野裁判官は、芸能界についての情報は疎く「復帰できるのか、何年先のことになるのかは分かりませんが」と前置きした上で「いつか、薬物というドーピングがなくても、音楽や芝居でいいパフォーマンスをしていると。むしろ以前よりすごいじゃないか。薬物を辞め続けていると、世間の人がそう見てくれるようになることを切に願っています」と励ました。

初公判は今月5日に行われ、検察側は懲役1年6月を求刑していた。瀧被告の担当弁護士は初公判後、「執行猶予がつくと思いますよ」と話していた。

起訴状によると、同被告は3月12日ごろ、東京都世田谷区のマンションで、コカイン若干量を吸引したとしている。