丹野が断崖から身を投げた「それぞれの断崖」第4話

俳優遠藤憲一(58)主演のフジテレビ系連続ドラマ「それぞれの断崖」(土曜午後11時40分)の第4話が24日、放送される。

遠藤が演じるのはコンピューターメーカーに勤める志方恭一郎。深酒して帰った日に、家庭内暴力をふるう中学2年の息子・恭介が殺された報告を警察から受ける。加害者は13歳の同級生・八巻満(清水大登)で、殺人を犯しても少年法で守られ罪には問われない。悲劇の夜、「被害者の父」は酒に酔い、怪しげな店で遊んでいたことが発覚。妻や娘たちに恨まれ、警察からも疑いをかけられる。加えて、加害者少年へ「絶対に許さない」と怒りを爆発させたことで、世間からの容赦ないバッシングを受ける。職を失い、家族の絆がほころび、やり場のない怒りを抱えた「被害者の父」は、息子の無念を晴らすために「加害者の母」で、はかなげな美しさを持つシングルマザーの八巻はつみ(田中美里)に身分を偽り近づいてゆく。作家小杉健治氏の同名小説が原作。

子供を失い、夫に不倫される、志方の妻を演じる田中美佐子(59)は「(役として)不倫をする側はしょっちゅうですが、される側は初めて。こういう話だと現場が重くなっちゃうんじゃないかと思っていたけど、エンケンさん(遠藤憲一)をはじめ、みんなダジャレ好き、ジョーク好きの方がそろっていて、娘たちもすごくそれに乗ってくれて、本番以外は楽しくできています」と話している。

クランクイン前の前の役作りに関して「何も考えないんです。現場に入って、セットを見て、衣装を着て、こういう生活水準で、こういう家庭でというのが何となく見えてきたら、あとは監督の言う通りにできたらいいなっていう、どっちかというとニュートラルに入るタイプなんで。でもドラマに入る前には必ずちょっとだけ休みをもらって、やりたいことをいっぱいやり続けて、スッキリしてからストレスのたまるドラマに行こうといつも思ってます」。

今回は事務所に頼んで1週間のオフをもらった。「テニスを毎日し続けようと思った初日に腰を痛めてしまって…。それで、お尻に注射を打ちました。長い針で脊髄に打つブロック注射っていうやつ。腰が痛くて立てなかったから1週間寝たきりで休みが終わり。ストレスがものすごくたまりました(笑い)。でも逆に、私はせっかちなので普段ゆっくりすることがなくて。一日中椅子に座って外を眺めたり、スマホで何かを見たり、こんなゆったりした時間もいいなって。初めて音楽とかも聞きましたよ、ジャスティン・ビーバーとか(笑い)。音楽っていいなって思いました」と話している。

夫役の遠藤については「私が思う遠藤憲一さんの一番の魅力は、気が弱いところ。若い頃は“前に出ることができないタイプ”で苦労されていて、だからこそ今、必死に自分を表現している姿がすごくすてきだなと思います。田中美里さんとは、名前が一文字違いゆえ一緒にキャスティングされることはないかなと思っていたので、今回実現できてよかったです。実は美里さんがご自身のラジオ番組で話した内容に対して『この前の(ラジオ)面白かったです』とか『ファンになりました』と、言われることが度々あり、それだけ人気のある方なので私は得をしていました。でも今回の脚本を読むと、演技上でバチバチあるかもですね」と笑っている。

第4話では、志方(遠藤)は、妻の雪子(田中美佐子)に、加害者の母のはつみ(田中美里)が勤めるスナックを素性を隠して訪れたこと、結局素性を告げずに帰ったことを話す。雪子は「もうあの人たちに関わってほしくない」と告げる。何をしたって、死んだ息子の恭介は戻ってこない。このまま憎しみに縛られていては、いつまでたっても家族は前に進めない。娘たちのためにも、もう加害者家族には関わらないでという、妻の言葉に志方は押し黙るしかなかった。

一方のはつみは、気持ちを奮い立たせて息子の満(清水)と懸命に向き合おうとしていた。しかし、面会に訪れた少年院で、満は「もう来ないでください」とまるで他人を見るような目で冷たく告げるのみ。はつみは、崩れ落ちそうになる胸の内を、笑顔で取り繕うことしかできなかった。

ようやく職場に復帰した志方だったが、待っていたのはまるで懲罰人事のような理不尽な異動で、資料整理をする閑職に追いやられてしまう。世間やマスコミからはたたかれ、裁判の傍聴すら許されず、会社でも邪魔者扱いされてむなしさがつのる。

加害者の母親からの謝罪がなければ家族の再スタートなどあり得ない。はつみの店に足を向ける志方。今日こそはすべてぶちまけてやる…。しかし、再会を喜ぶはつみの笑顔に決意が揺らぐ。店が終わった後、はつみを居酒屋に誘い出した志方だったが、帰り道、はつみの目に突然涙があふれる。加害者の母親が抱える苦悩を目の当たりにする志方。生きる苦しみは同じなのかもしれない…。はっと我に返り、すがりつくはつみを振り切って立ち去る。

ある日、志方は葵電気の丹野(梨本謙次郎)からのあいさつ状を受け取る。かつて志方とまとめた契約が不成立になってしまった影響は大きく、静岡の下田に転勤させられたというのだ。責任を感じる志方は、丹野を訪ねてみようと思い立つ。

丹野は、明るく志方を迎えてくれた。大いに飲んで語り明かした翌日、丹野の誘いで2人は断崖を訪れる。「この断崖の前では、人間なんてちっぽけなものだと思い知らされます」。丹野の顔にふと差す陰りに、志方は言葉をなくすだけだった。

そして数日後、丹野が断崖から身を投げたという知らせが届いた。