俳優遠藤憲一(58)主演のフジテレビ系連続ドラマ「それぞれの断崖」(土曜午後11時40分)の第7話が14日、放送される。

遠藤が演じるのはコンピューターメーカーに勤める志方恭一郎。深酒して帰った日に、家庭内暴力をふるう中学2年の息子・恭介が殺された報告を警察から受ける。加害者は13歳の同級生・八巻満(清水大登)で、殺人を犯しても少年法で守られ罪には問われない。悲劇の夜、「被害者の父」は酒に酔い、怪しげな店で遊んでいたことが発覚。妻や娘たちに恨まれ、警察からも疑いをかけられる。加えて、加害者少年へ「絶対に許さない」と怒りを爆発させたことで、世間からの容赦ないバッシングを受ける。職を失い、家族の絆がほころび、やり場のない怒りを抱えた「被害者の父」は、息子の無念を晴らすために「加害者の母」で、はかなげな美しさを持つシングルマザーの八巻はつみ(田中美里)に身分を偽り近づき、やがて禁断の恋に落ちてしまう。作家小杉健治氏の同名小説が原作。

第7話では、満(清水)の少年院からの退院が決まった。禁断の恋に落ちた志方(遠藤)とはつみ(田中美里)は覚悟を決めて、満を受け入れることにした。

はつみの弁護士の若菜(内田滋)が、怒りの表情で告げた。

「あなた方は一体何を考えているんですか?」

殺人事件の被害者の父と加害者の母が不倫の末、犯人の少年を迎え入れるという前代未聞の事態が週刊誌にすっぱ抜かれ、世間の大きな注目を集めていた。満の更生と社会復帰を第一に考えるなら絶対に別れるべきだ、と強く主張する若菜だったが、2人の気持ちは変わらない。困難な道のりでも、覚悟を決めて進みたいと強く思う二人…。

そのためには、満に2人の関係を話さなければならない。満に意を決して打ち明けるはつみ。「母さん、好きな人がいる」「どんな人?」「…志方恭一郎さん。恭介君のお父さん」。満の笑みが消えた。

満の退院の当日。志方は、はつみのアパートを訪ねる。志方が部屋へあがると、満がそこにいた。視線がぶつかり、思わず満を食い入るように見つめる志方。

「僕のことが憎いんでしょ?」

「ああ、憎い」

「恭介君を殺した僕を、許してくれるんですか?」

いざ犯人の少年を目の前に、どれだけ覚悟をしても憎しみの感情があふれそうになる。

「いつか、許せる日がくればいいと思う」声を絞り出す志方。

満とはつみは、雪子(田中美佐子)のもとへ謝罪に訪れる。弟を殺した満を、憎しみの目でにらみつける長女の真弓(仁村紗和)と次女の真紀(永瀬莉子)。「恭介(渡辺蒼)はこの部屋でずっと生きていたの。よく見ておきなさい」。雪子は、遺影に向かって謝罪の言葉を口にする満に、絶対に自分の犯した罪を忘れないで、と告げ、そして問いかけた。

「なぜ恭介を殺したの」

「恭介君を失いたくなかった。失うくらいなら、いなくなった方がいい」

満の最後の一言は、志方に向けられたものだった。