今年6月に相方の横山たかしさん(享年70)を亡くした漫才師横山ひろし(72)が16日、大阪市中央区の所属松竹芸能で、妻で、かつてアイドル女性漫才「春やすこ・けいこ」として一世を風靡(ふうび)した春けいこ(61)と夫婦漫才を組むことを発表した。

11月3日の心斎橋角座などでネタを磨き、12月1日の「大阪松竹座 お笑い披露公演~年忘れネタ祭り~」で、夫婦コンビでの本格初舞台を予定している。

「51年、たかしと組んできて、ピンでやろうかなとも思ってたけど、漫才も…と考えたら、このトシで新しい相方と(息を)合わせる時間もないんで」。ひろしは、夫婦漫才結成までの流れを明かした。

金ピカ衣装の「お坊ちゃま」キャラだったたかしさんの“暴走”を操り、卓越した話芸、息合いで、ほら吹き漫才を確立したが、相方を失い、8月のお別れ会までは「何も考えられなかった」と振り返る。

お別れ会の日、帰宅してけいことソファに座ると、扉が「フワッと開いた」そうで、たかしさんの魂を感じつつ、行く先を考え、妻との漫才を思案した。

けいこは「直接言われたわけではないけど、私が『(漫才を)やってくれたら楽なんかな』と感じた」といい、自然の流れで夫婦コンビ結成に至った。

「ひょうきん族」時代、2人で漫才をしたこともあり、3年前の「いい夫婦の日(11・22)」には、イベントで夫婦漫才を演じたこともあった。ひろしは「今だからやれる大人の漫才を」と言い、すでに新ネタ2~3本を書いている。

いまだ、ひろしは「たかしの気配」を感じるといい「これからも3人でやっていきます」。けいこも「家で洋服着替えるのも、お風呂も、見られてるんちゃうかと思う」と笑った。

コンビ名について、けいこは「お互いにプライドをもってやってきた名前、このままの名前でいく」。ほら吹き漫才を確立させた夫、80年代漫才ブームを女性漫才コンビの象徴として駆け抜けてきた妻、漫才師夫妻の自負もある。

それでも、ひろしは「でもまったくの新人ですから、一から、新人のつもりで頑張ります」と言い、今年の予選はすでに始まっているが「M-1グランプリ」挑戦も「来年、機会があれば」と前向きだ。

会見に同席していたベテラン漫才師の酒井くにお(71)から「けいこちゃん、しっかりしてるから大丈夫」と太鼓判を押され、けいこも「嫁が相方として夫を助ける夫婦もそうないでしょう」と自信をチラリ。コンビ結成にあたっては、当代の夫婦漫才第一人者、宮川大助・花子にも報告を終えており、ひろしは「夫婦漫才、少ないからぜひ頑張って」と激励されたことを明かしていた。