ピーター・バラカン氏「ルーツ」先住民族の音楽語る

音楽評論家のピーター・バラカン氏(68)が7日、東京・渋谷ホワイト シネクイントで行われたカナダ映画「ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち」(キャサリン・ベインブリッジ、アルフォンソ・マイオラナ監督)初日イベントで、米国先住民研究家の野口久美子明治学院大准教授と先住民族について語り合った。

「ランブル-」は、先住民族の血を引く米国のギタリスト、リンク・レイが1958年にリリースした「ランブル-」が、歌詞がないインストゥルメンタルにもかかわらず、攻撃的なギターサウンドが少年犯罪を助長するという理由で放送禁止となったことを紹介。先住民族をルーツに持つミュージシャンが、レッド・ツェッペリンやザ・フーらのアーティストをはじめ、米国のポピュラー音楽に影響を与えながら、栄光の歴史から抹殺されたことを明らかにしたドキュメンタリーだ。字幕を監修したバラカン氏は「彼らの音楽が、いかにして米国の音楽、特にブラックミュージックの大きなルーツになっているかを知って、何十年も音楽の仕事をしている自分も本当に感激した」と語った。

バラカン氏は野口氏に、先住民について質問を次々、投げかけた。その中で、英国から米国に入植した白人が入植地を広げていく中で、先住民から土地を奪ったり安価で購入したこと、先住民に白人と接触せず自由に生きることを保証すると言って、保留地に住まわせた米国建国からの歴史が紹介された。

その上で、保留地で先住民がカジノを経営することに話が及んだ。バラカン氏は「米国は、ネバダ州では許されているが、基本的に賭博が出来ない国。特例として先住民が保留地でカジノの運営が許されることになった時、驚いた。成り立ちを説明してもらえませんか?」と投げかけた。

野口氏は19年に著書「インディアンとカジノ アメリカの光と影」を出版している。同氏は、まず米国におけるカジノについて「大きな収益が上がる産業の1つ。非常に盛んで、大衆文化と言ってもいい。米国ではカジノがいいか、悪いかは問題じゃない。必要なんだと」と、統合型リゾートの誘致にあたりカジノの是非が議論されている日本とは、次元が違う議論をしていると説明。その上で「日本と全く違うのは、ものすごい厳しい規制の下に置かれている。金の流れも70年代以降、かなりクリアになってきた。ギャングとの癒着はもちろんあるが、それも含めて連邦政府は把握している。普通の一般の人、地方が参入するなんて出来ない」と強調した。

その上で、野口氏は先住民保留地におけるカジノについて「20年前から設営されている。保留地に入れば、どんなに好きなことをやってもいいよ? というのが(先住民が)保留地に入る条件。そこで、これだけ、もうかるんだったら、保留地でカジノをやったら? と考えた先住民がいた」と説明。法律の問題や裁判所との間で葬儀があったとした上で「(保留地に入れば、どんなに好きなことをやってもいいと)確かに約束したよね、だったらいいんじゃないの? と考えるのが米国の面白いところで、保留地にカジノができ、爆発的な人気を誇った。そこから20年…今では200以上の部族が500軒くらいのカジノを経営しています」と現状を語った。