東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ紙7紙の映画担当記者で構成)主催の第65回(22年度)ブルーリボン賞が23日までに決定し、清野菜名(28)が、「キングダム2」「異動辞令は音楽隊!」「ある男」で助演女優賞を受賞した。

清野は「正直、自分にはご縁がないと思っていた。賞を自分がもらえる立場になるイメージが全く持てなくて、いまだにわかっていないというか。今でも信じられないです」と心境を明かした。

アクション女優の地位を確立した清野も「キングダム2」の羌■(キョウカイ)役には「得意のアクションを存分に発揮できる気持ちはあったけど、練習に入ってみたらまねできない難しさがあって、こんなにやってきたのにまた壁にぶち当たるものがあるんだと刺激的でした」。

人間離れした強い役とアクションに「羌■の動きを完成させるために何カ月もトレーニングして筋肉痛が取れない。『この筋肉痛は“羌■痛”だね』とアクション部と話していました」と笑顔を見せた。

撮影後は体が“大きく”なったといい「剣をずっと振っているので、特に右肩が大きくなりました。Tシャツが右だけパンパンで。さらに腰を落として、走るときも手を振らない走り方なので鍛えられてジーンズもピチピチです」と笑った。

ワイヤアクションにも挑戦。羌■が「トーン、タンタン」のリズムで繰り出す、圧倒的な剣技に「筋力が男性に比べて少ないので、垂直に上がらなくて一番難しかった」と振り返りつつ「今回がっつり剣もやって、ちょっとつかんだので(剣の)二刀流をやってみたい! 羌■なら持って行けそうな動きがあったので」と今後に向けても意気込んだ。

また「異動辞令-」ではトランペットの演奏に挑戦した。「独学でギターとかドラムをやって、役でもベースをやったんですけど、まさかまたここで全く違う楽器が来るとは思っていなかった」。さらに「スタートラインにも立てない日々が結構長く続いて、自分でもスタジオに入ったり、先生とも頻繁に連絡を取って、動画を見せたり、見せてもらって練習する日々だった」という。

「ある男」では豪華キャストに「素晴らしい大先輩方がそろいにそろって、台本の名前を見たところから緊張が続いて、毎日毎日台本を見て自分なりに徹しようと頑張りました」。

昔はアクションのない演技が不安だったという清野だが、現在は「アクションのない役を特別に見なくなった」と明かす。それは、倉本聰氏が脚本のテレビ朝日系連続ドラマ「やすらぎの刻~道」(19~20年放送)でヒロインを演じた際に、倉本氏と出会ったことがきっかけだといい「ちゃんとこの役を全うしようと。自分で準備をすれば、自信を持ってそこに立てると思ったので今あるものをしっかり頑張っていきたいです」。

主演作を含めると4作品に出演。アクションからシリアスな役まで幅広く活躍した。将来はアクションでハリウッドに行きたいという清野が、今後挑戦したいことは「スパイがやってみたい。昔からスパイに憧れがありますね」。

大活躍の年となり「とても挑戦しがいのある毎日。いろんなジャンルにチャレンジ出来たのは自分にとって、とても刺激的な年でもあったし、単純に楽しかった。自分の課題もそれぞれに見つかりました。賞に恥じないようにこれからも一生懸命頑張っていきたい」と締めくくった。【加藤理沙】

※■はヤマイダレに鬼

 

◆ブルーリボン賞 1950年(昭25)創設。「青空のもとで取材した記者が選出する賞」が名前の由来。当初は一般紙が主催も61年に脱退し67~74年の中断を経て、東京映画記者会主催で75年に再開。ペンが記者の象徴であることから副賞は万年筆。新型コロナウイルス感染拡大防止のため授賞式は3年連続で開催を見送ってきたが主演男、女優賞受賞者が翌年の授賞式で司会を務めるのが恒例。