7月のロンドン世界選手権走り幅跳び(切断などT42)で銀メダルを獲得した山本篤(35=スズキ浜松AC)が、100メートルを13秒55、400メートルを1分7秒67で制した。

 「ダメですね。もっとタイムは出るかと思いましたが…。雨が降るコンディションよりも気持ちの方が抜けてしまっている」。山本は苦笑いするしかなかった。

 今季最大の目標だった世界選手権後の大会だけに、モチベーションの維持は困難。エントリー時に「何となくその気になって」走ることになった400メートルのゴール後には、すべてを出し尽くしてトラックの倒れ込んでしまった。

 17年の陸上のスケジュールは最終日の24日、走り幅跳びと200メートルに出場して終了する。その後は来年の平昌パラリンピック出場を目指してスノーボード活動を本格化。10月中旬に中国で個人合宿を行い、11月からはW杯を転戦してポイントをできる限り積み重ねていく。

 スノーボードに日本代表枠は現状「2」。山本にとっては狭き門だが、招待出場枠で出場できる可能性はある。初出場だった今月2日のW杯(ニュージーランド)ではバンクドスラロームで6位入賞も、上位とは大きな差があった。それでも「その後の現地合宿で滑りの感覚はつかめてきた。常に上位に入賞するつもりでやっていく」と前向きだ。

 スノーボードクロスとの2種目に積極的に参戦し、上位に食い込んで、より多くのポイントを獲得しておくことが夏冬パラリンピック出場への道。山本の新たなチャレンジが始まる。【小堀泰男】