日本女子初の五輪ボクサー、フェザー級の入江聖奈(21=日体大)が一気にメダルを射止めた。12年ロンドン五輪から採用された女子で、日本で初出場した勢いままに、準々決勝でルーマニア選手を3-2の判定で下した。3位決定戦はないため、初のメダル獲得を決めた。

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女子初の快挙。それは日本ボクシング協会の新体制の勝利でもあった。山根明会長体制で助成金流用問題、パワハラ問題で揺れたのは18年夏。最終的には反社会的勢力との交友関係の責任を取る形で同8月に会長職を辞任し、9月に新体制が発足した。

内田貞信会長の元でさまざまな改革が行われてきたが、その1つが「男女平等」だった。それまでは男子偏重だった強化費を半分ずつに。強化委員会も男女で分けた。以前は男子の合宿に女子がついて行くのが慣例だった。添え物的な扱いを根本から改めた。

コロナ禍で女子単独で行われた強化合宿は10回以上。入江がボクシングを始めた「シュガーナックル鳥取」の伊田武志会長が20年度から強化委員長になり、愛弟子含めた女子の有望選手たちを鍛え上げた。

この日、その恩師はセコンド資格の問題で会場に入ることはできなかった。悔しがる姿に、入江は燃えていた。【阿部健吾】