浦和MF柏木陽介(28)が「ミシャ・プレス」の中心として、ピッチを走り回った。

 味方がボールを奪われるたびに、出足鋭くプレスをかけ、ボール再奪取につなげた。ミシャことペトロビッチ監督が掲げる、相手を完全に敵陣に押し込む戦術を、守備の司令塔として体現してみせた。

 「危なかったのは(前半40分の)田坂選手のシュートくらい。ほとんど押し込めていたし、たとえ押し返されても、フリーでシュートは打たれなかった。攻守の切り替えが早く、球際でも戦えた。それを全員ができた。川崎Fは良さが出せなかったけど、それはうちの守備がよかったということだと思う」

 働きは数字にも表れた。トラッキングデータでは、走行距離は両チーム最長の11・790キロメートルに達した。抜群のキープ力、展開力でボール保持時間を増やし、味方が押し上がる時間もつくったが、本人は「個人的には悪かった。オレの中ではボールを失う回数は多かった」と満足しなかった。

 「自分が相手を引きつけて、打開できそうな場面もあった。相手最終ラインを狙って走る選手が何人もいた分、一瞬迷う場面もあった。球際であれだけ戦えるのは、以前の自分にはなかったことだから、ポジティブなことだけど…。ボールを持った時に、技術的に違いが出せないと、オレじゃない。もう少し工夫して、余裕も持ってプレーできないと」

 ハリルホジッチ監督の高い評価を受けて日本代表に定着したこともあり、自らに課すハードルは高くなっている。「今日もガチンコだったけど、アジアのとの戦いの方が常に相手の強さ、組織力、個の力を感じながらプレーできる。ACLを戦えて、個人的にもレベルアップにつながっている」とも話す。

 今季は開幕から、浦和相手なら守備に専念する相手との対戦が続いてきた。久々に真っ向勝負を挑んできた川崎F戦を終え、柏木は最後にこう言った。

 「勝つためだから、仕方ない部分もあるとは思う。でも日本サッカーの将来のためには、見ている子どもたちがわくわくするような試合が、もっと増えないといけない。うちはみんながそう思ってやっている。世界でやっているような、前から圧力をかけてボールを奪って、ポゼッションしながらゴールに向かい、いいコンビネーションでゴールを決めるサッカー。そういう場面を、多くの子どもたちに見せたい」

 「オレが子どものころは、Jリーグは引いて守るチームなんかなくて、いつもガチンコ勝負だった。だからカウンター合戦になっていたけど、見ていてわくわくした。今、そういうサッカーをされたら、うちは逆にやりにくいかも。正直、引いて守る相手を崩すすべは、うちはすでに身につけてきているから」