横浜FCのFWカズ(三浦知良、52)がFC岐阜戦に約2年ぶりに先発出場し、自身が持つJ2最年長出場記録を52歳25日に更新した。

20年以上の親交がある米大リーグ・マリナーズのイチロー外野手(45)の引退発表からわずか2日後。52歳になって初の公式戦で1トップに入ったカズは54分間プレー。得点はなかったが、チームは2-0で快勝した。

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17年4月15日の町田戦以来となる先発で、カズはしっかり見せ場をつくった。前半29分にはDF北爪へのスルーパスで好機を演出し、前半41分と45分に味方のクロスにファーサイドに入りこんだ。クロスは2本ともわずかに頭に合わず、シュート0本で0-0の後半9分にFWイバと交代した。スタンドから大きな拍手が起こった。チームは勝利で終え、カズは「残念ながらゴールすることはできなかったですけど、チームが勝つ最低限の仕事はできたかなと思います」と振り返った。

イチロー引退発表のわずか2日後に先発する巡り合わせに、「おもしろいですね」としみじみ。52歳になって初のピッチに「出たくても出られない選手がたくさんいる中で、みんなが52歳で出るのはうらやましいと思っていると思う。その中でピッチに立てたのはうれしいですね」と喜びをかみしめた。

先発出場にこだわり、恒例のグアム自主トレも90分戦う体づくりをテーマに走り込みや体幹を鍛えてきた。昨年12月の自主トレで右ふくらはぎを痛めたが、1月はチームの1次キャンプに合流せず、自主トレ期間を延長。自身のペースでしっかり調整を進めてきた。今回の先発も、指揮官が調整を第一に考え、直近の2試合でベンチから外す配慮をしたことも大きかった。カズは「特別になってしまうかもしれませんけど、プログラムされた練習をして次に合わせることをしていけば、今日以上の時間を出られるようになると思う」と話した。

イチローにはまだメールを送っていない。「迷ってます。トレーニングしたんでしょうかね」と気になっている様子。イチローは45歳で引退した。カズはこの日の54分を経て、「どう点を取るかに固執してやっていけば、ゴールチャンスは増えるのでは」と、まだまだやれる手応えをつかんでいた。【岩田千代巳】