ガンバ大阪が2-1で清水エスパルスに競り勝ち、再開後3試合目で初勝利を挙げた。

FW渡辺千真(33)が後半終了間際、2試合連続弾で、勝ち点3をもたらした。FWパトリックとともに後半29分から同時投入され、1度は同点に追いつかれたが、土壇場で勝負強さを発揮した。同じく途中投入のMF遠藤を含めて「令和版勝利の方程式」となりそうだ。

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渡辺の技ありゴールでG大阪が再開後、待望の初勝利を挙げた。先行逃げ切りに失敗し、痛恨ドローを覚悟した後半44分。相手2人をかわしながら、渡辺が右足を振り抜く。高度な個人技による勝ち越し点を見届けた33歳は、右拳で自らの胸をたたいた。

「ゴールが取れ、勝てたことがよかった。シュートコース(を)見つけながら打った。途中から出たら流れを変えたり、ゴール取るという思いがある」

前節名古屋戦もこの日と同様、FWパトリックと後半途中に同時投入され、2人の連係で渡辺が起死回生の同点弾。この日は個人技で決勝点を生んだ。横浜F・マリノス、FC東京、ヴィッセル神戸と渡り歩いた元日本代表は、これでJ1通算96得点となった。

宮本監督の采配も当たった。再開後2戦は攻守のバランスが悪く、この日は4バックに修正。すると前半に4人の華麗なパスがつながり、最後に先制点を挙げたMF小野瀬は「試合前のミーティングで、ゴール前に人数をかけようと話していた」。選手の距離感が保たれ、連係は改善した。

そして新たな勝利の方程式の誕生だ。技術系の宇佐美&アデミウソンが先発し、力勝負に向くパトリック&渡辺は後半途中に投入。5人交代枠の恩恵を受けつつ、かつてFW松波(現強化部長)をスーパーサブにした時代のように、適材適所の起用ができる。

宮本監督は「パワーとフィジカルに強い2人が控えている」と、渡辺ら強力FWを信頼する。先発が基本のMF遠藤が2試合連続で途中出場したように、タレント軍団ゆえに方程式の組み合わせは自由自在。G大阪が完全復活へのきっかけをつかんだ。【横田和幸】