2連勝を2試合連続完封で飾ったセレッソ大阪が、4位から5位に後退したものの、3位名古屋グランパスに勝ち点1差に迫った。

27日にスペイン人のロティーナ監督の今季限りでの退団が発表され、初めて迎えた試合だった。本拠地には「ロティーナと天皇杯を獲得して俺たちの強さを証明しよう」「フロントは納得のいく説明を」などと書かれた横断幕が掲げられていた。昨季5位で今季も上位争いする成績とともに、人柄もサポーターから支持された指揮官ならではで、クラブへの抗議、異議の行動でもあった。

試合後、森島寛晃社長(48)が取材に対応した。横断幕は目に入っており「サポーターの方の思いは伝わっています」と神妙な表情だった。「ただ編成は1年、1年考えています」と、導き出した結論に相当な決意もにじませた。

現時点でクラブが発表したのは、ロティーナ監督の退団という事実のみ。理由などは公式には明かされておらず、この日の森島社長も言及はしなかった。クラブ側によると、現在は2、3位へ全力を挙げており、公式戦に集中するためだという。全日程を終えるなどのタイミングで、交代理由を発表したいという。

既にクラブ関係者は、指揮官の続投を支持する声もあったと証言した上で、より攻撃力の向上を目指すための交代だとしている。そのためにクラブから指揮官へ契約満了を通告。成績不振による「解任」ではなく、発展的解消というイメージに近い。28日の取材で、ロティーナ監督も「プロとして受け入れるしかない」と冷静にコメントしている。

ただ、選手から指揮官への信頼は厚く、この日の試合後、ビッグセーブで完封の主役になったGKキム・ジンヒョンは「ロティーナ監督の退団が決まって、そこから残り試合を全部勝ち続けていきたいと思っていた。守備陣がゼロに抑えないといけないとやってきた。残り1試合、1試合が大事になってくる」と悲壮な決意を語った。

C大阪の残された今季の目標はズバリ、2位に入って天皇杯準決勝から出場し、タイトルを奪うこと。実力通りでいけば、元日の決勝でJ1リーグ優勝の川崎フロンターレと再戦できる。そこで天皇杯を掲げ、ロティーナ監督を胴上げできれば、これ以上のドラマはない。

上位陣ではC大阪が残り4試合と最も多く、来季のACL出場権が得られる3位はもちろん、2位ガンバ大阪の背中も視界にとらえている。

この日、決勝点を奪ったブラジル人のFWブルーノ・メンデスも「チームで少しでも長くできるように、終盤に入って1つ1つの試合が大事になってくる」と意気込む。同選手も2年間続いた期限付き移籍が今季限りで終了する可能性もあり、今は目の前の試合に集中している。

シーズン終盤はいつの時代も、どのクラブにも訪れる別れの季節。その中でC大阪が熱い、残り1カ月を送ろうとしている。【横田和幸】