シーズンを占う富士フイルム・スーパー杯のかたわらで、熱く、かわいい戦いが行われてきた。13年に始まった「Jリーグマスコット総選挙」は、11回目の今年が“最後の戦い”となる。個性あふれる魅力で盛り上げ、愛されるマスコットたち。企画立ち上げから携わってきたJリーグ・事業マーケティング本部の中村有里さんに、11年の思いや魅力を聞いてみた。今大会の4~56位は発表されており、ベスト3は11日の同杯ハーフタイムに発表される。【取材・磯綾乃】

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「Jリーグマスコット総選挙」誕生のきっかけは、あのアイドルグループだった。「当時、AKB48さんが選抜総選挙を開催されていて、すごく話題になっていたんです」と、中村さんは振り返る。

これまでの最多投票数は16年の約350万票。今ではSNS上でサポーターや選手、著名人までもが「選挙活動」を行う人気イベントだ。「指原莉乃さんが大分ご出身で(J2大分の)ニータンと仲良しで、毎年リツイートしてくださったり。ありがたいムーブメントで、うれしく思っています」。マスコットの存在が意外な縁もつないでくれる。

チームの強さだけでは“センター”にはなれない。「単純にサポーター数だけでいうと、J1クラブの方が強いだろうなと思われがちですが、そうでもないんです」と中村さん。「あざとかわいい」が代名詞のJ2長崎「ヴィヴィくん」は、2度の頂点に輝いている。初優勝後は地元局で番組を持つほどの人気ぶり。「浦和のファンだけど、マスコットはヴィヴィくんが好き」といった声も中村さんは聞いていた。“推し”のクラブとは別に“推しメン”を応援する。他のクラブに興味を持ち、初めてのスタジアムに足を運ぶきっかけにもなる。それこそがマスコットの秘めた力だ。

11年目の今回を節目と決めたのは、新たなマスコットの関わり方を模索するからだ。「近年、世の中的にも順位を付けること自体に意味がないという雰囲気も出てきました。違う切り口でマスコットを生かしていきたいと思っています」。これからも変わらず期待するのは、Jリーグとの「かけ橋」になってくれること。「ファンの方との接点が一番。我々はフットボールがど真ん中ではありますが、マスコットがクラブを知るきっかけを作ってくれるとうれしいなと思います」。これからもオンリーワンの魅力で、それぞれのNO・1を目指す。

■推しメン見つけて!みんなキャラ立ち

戦隊ヒーローの姿をしたJ3鳥取「ガイナマン」、折り鶴のJ3岩手「キヅール」などマスコットは個性豊か。見た目だけでなく、めったに試合に現れないことで有名なJ1浦和「レディア」など、それぞれがキャラ立ちしている。

中村さんの今大会の注目は、J1横浜「マリン」。「男の子キャラがメインなクラブが多いので、女の子でインパクトあるキャラクターが出てきたなというのが印象的です」。絵文字たっぷりのツイッターを使いこなすイマドキの女の子。“女王”となれば、横浜は所属するマスコット全員の完全制覇。ちなみに、クラブ創設から支える「マリノス君」は「トリ語」を話すという。

◆J1東京の「東京ドロンパ」は、昨季に続き総選挙には不参加。企画を尊重しながらも「マスコットはそれぞれが尊く、それぞれがみんなのN0・1」という理由から。また現在公式のマスコットを持たないのは、J3沼津、奈良、今治、宮崎の4クラブ。