サンフレッチェ広島のFW加藤陸次樹(むつき、27)は8日、自身初のタイトルを懸けて、今季最終戦の敵地ガンバ大阪戦に臨む。
2位広島はヴィッセル神戸を勝ち点1差で追う2位。この一戦に、9年ぶり4度目のリーグ優勝が懸かっている。
前節1日の今季ホーム最終戦。北海道コンサドーレ札幌に1得点1アシスト、1PK奪取と、大車輪の活躍を見せた加藤は、試合後のインタビューで「最後、僕たちは全てを出し切ります。全てを懸けてタイトルを取りにいきましょう。シャーレを必ず、広島に持ち帰りましょう」と、サポーターに絶叫。
その後のセレモニーで、仙田信吾社長(69)がマイクの前で「加藤陸次樹の言葉をもう1度、繰り返します。シャーレを必ず、持ち帰りましょう」と、ダメ押しで絶叫したことでチーム内では、このフレーズが流行語になっている。
この試合でPKを奪取した場面は、22年ルヴァン杯決勝で当時セレッソ大阪に所属していた加藤が、DF佐々木翔(35)のバックバスを奪った状況と酷似。当時は自身の先制ゴールとなり、今回はPK奪取につながった。
本人も「あのバックパスは、ルヴァン杯の再来じゃないですか。常に狙っているんで、それがPKにつながった」と振り返る。
ただ、ルヴァン杯のその先の展開は加藤にとってつらいものだった。
自身がベンチに退いた後、後半残り数分で広島FWソティリウの2発で逆転優勝をさらわれた。ベンチ横で号泣する加藤に、広島ユース時代の先輩DF荒木隼人(28)が駆け寄り、慰めたのは名場面になった。
加藤はユースから広島のトップ昇格ができず、中大、ツエーゲン金沢を経て21年にC大阪入り。
ルヴァン杯での悔し涙、ゴール、成長、執念が広島のクラブに伝わり、翌23年夏に推定1億円という移籍金をC大阪に払ってまで、広島が加藤を完全移籍で獲得する異例の動きになった。
今回のG大阪戦は、今季限りで引退するMF青山敏弘(38)の正真正銘、最後の舞台になる。加藤は言う。
「僕自身、1年半プロとして一緒にプレーできてすごく幸せだった。青山選手は僕ら世代からしたら、全員が目標にする選手。いつか一緒にプレーしたいと思っていた。引退前にプレーできて、ありがたいです」
C大阪時代の加藤といえば、23年5月のG大阪戦(パナスタ)で1-1で迎えた後半終了間際、カウンターからDF山中の左クロスを、加藤がヘッドで劇的勝ち越しゴールを決めた。
広島でクロスの名手といえば、1日の札幌戦でもアシストしてくれたMF東俊希(24)がいる。今季8得点の加藤が、パナスタで名ゴールの再現をすれば、J1での年間自己最多得点を更新する9点目となり、広島が逆転優勝に近づくかもしれない。
◆加藤陸次樹(かとう・むつき)1997年(平9)8月6日、埼玉・熊谷市生まれ。クマガヤSCから広島ユース、中大、当時J2の金沢を経て21年C大阪へ。J1通算127試合29得点(今季36試合8得点)、J2通算42試合13得点、ルヴァン杯通算28試合10得点。180センチ、71キロ。



