日本陸連は16日、都内で理事会を開き、東京オリンピック(五輪)の男子400メートルリレーの代表選考基準について「個人種目は原則として1種目のみとする」との選考要項を提案した。

五輪は競技日程が過密で、金メダルを目指す男子400メートルリレーのメンバーの体力的な負担軽減が目的。しかし、100メートル、200メートルと個人2種目出場を目指すサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)ら選手からは早速、疑問の声があがった。来年3月までに結論を出す方針だ。

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日本陸連が、男子400メートルリレー代表の選考に、個人種目の出場を「原則」として1種目のみとする異例の案を示した。悲願の金メダルのためで、男子短距離の土江五輪強化コーチは「五輪で金メダルが取れるチャンスはなかなかない。それが東京五輪に巡ってきた。ベストな4人を決勝のスタートラインに立たせたい」と説明。過去にない提案は、競技日程が前回より詰まっていることが大きい。

8月1日に100メートル予選、2日に同準決勝と決勝、4日に200メートル予選と準決勝、5日に同決勝、6日に400メートルリレー予選、7日に同決勝と続く。さらに、リレーのエントリー選手数も前回大会より1減の5人。加えて国立競技場のタータン(走路)は反発が強く、体への負担も大きいという。リレーへのリスクが高く、異例の提案に至った。

歴史的にも世界大会の個人2種目出場はリレーへ懸念材料となってきた。世界選手権では過去3大会で高瀬、サニブラウン、小池が2種目に出場したが、うち400メートルリレーを走ったのは小池だけ。その小池も予選で、精彩を欠き決勝は控えに回った。反対意見も出ているが、今後、選手側に理解を求めていく方針だ。