サニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)が、日本陸上界の歴史を動かした。男子100メートルで決勝進出を果たした。準決勝1組で10秒05の3着。全3組で各組2着の自動進出こそ逃したが、タイムで拾われ8人の決勝枠に残った。世界選手権では日本人初の快挙となった。

「いい形で出たけど、後半はもっとまとめられたかなという感じ。やっぱり強い選手はしっかりここに合わせてくるなとものすごく感じた。タイムはもうちょっと上げていけるかなという感じ」と振り返った。レース直後は決勝進出は確定していなかったが「(決勝に進出できれば)もうちょっと上げていけるかな。決勝はヨーイドンなので、全力でいってやろうかなという感じ」と話した、

日本勢では32年ロサンゼルス五輪の「暁の超特急」吉岡隆徳以来、90年ぶりとなる世界大会ファイナリスト。注目の“世界最速”決定戦は、日本時間の同日午前11時50分に号砲が鳴る。

予選では向かい風0・3メートルの条件下で、全体6位の9秒98をマークしていた。日本勢で初めて、世界選手権の大舞台でついに9秒台を刻んだ。

昨年度はヘルニアによる腰痛に苦しみ、200メートルに出場した東京五輪も予選敗退に終わるなど、不完全燃焼だった。地元開催の米国勢を中心に強豪ぞろいの花形種目。前日の予選後には「こんなレベルの高い試合はないんじゃないか。9秒90(台)でも落ちるかもしれないが『ここにいたんだよ』じゃなくて、しっかりいい結果を残せたらいい。歴史をつくりにきている。もっともっと上を狙っていきたい。明日、過去の自分を超えて、またらさらに前に進んで、前に歩ければいい」と話していた。

7年前の15年北京大会。16歳172日の世界最年少で200メートルの予選に出場し、準決勝に進出して世界を驚かせたが、それ以上のサプライズとなった。