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空手清水希容「形」の重要性をフィギュアから再確認

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複数のスポーツを取材する五輪競技担当記者にとって、秋は頭の切り替えに苦労する季節だ。夏季競技の多くがシーズンのクライマックスへと向かい、一方で冬季競技は待ちわびたシーズンインとなる。

アジア大会の報告会で大阪・八尾市のミキハウス本社を訪れた空手女子形金メダルの清水希容(2018年9月6日撮影)
アジア大会の報告会で大阪・八尾市のミキハウス本社を訪れた空手女子形金メダルの清水希容(2018年9月6日撮影)

9月6日、大阪・八尾市のミキハウス本社で行われた所属選手のアジア大会(ジャカルタ・パレンバン)報告会で、空手女子形の清水希容(24)を取材した。偶然にも翌7日は、清水の母校でもある関大のアイスアリーナで、平昌五輪4位の宮原知子(20)らの公開練習。その流れから、清水に以前に聞いた、興味深い話を思い出した。

清水はアジア大会で金メダルを獲得し、11月にスペインで行われる世界選手権で3連覇を狙う女王だ。新種目として採用された20年東京五輪では、形の金メダル有力候補。周囲に追われるプレッシャーと戦いながら、毎日の練習に向き合う。

およそ1年前にしたのが「関大といえばフィギュアスケートも有名ですよね」という話だった。その時、清水はうれしそうな顔でこう言った。

「私、フィギュアスケートが大好きなんです。元々浅田真央さんのことを『(所作が)きれいだな』ってずっと見ていて、羽生(結弦)選手が出てきた。表現とか、意思の強さが表れていて、勉強になるんです」

関大在学時には高橋大輔や、町田樹氏と顔を合わせることがあったという。それぞれと個人的な思い出がある。

「高橋大輔さんは(学内での)表彰の時の花束贈呈で、花束を渡したことがあります。町田さんは一緒に授業を受けていました(笑い)。スポーツに関する授業を一緒に受けていたので、普通にしゃべったり、課題を与えられたときのグループワークで、ペアを組んだりしていました」

清水はそんな交流を自身の競技に生かしている。16年1月には練習の合間を縫ってアイスショーにも足を運び、羽生の演技も実際に見た。

「形とフィギュアスケートは結構、重なることが多いんです。例えば全体の構成。形は(自分で構成を)作れないんですが、全体の流れだったり、部分部分で大事にするところの表現の仕方、インパクトの与え方は人それぞれ。決まった動きなんですが、やる人によって、見え方が違うんです。同じ(種類の)形をやっていても『力強い』、『表現がうまい』とかに分かれる。その目線で羽生選手を実際に見ていましたが、映像で見るのと全然違う雰囲気や、貫禄があって、見入ってしまいました」

話はさらに具体的になった。

「私が見るのは手先の動かし方ですね。それがバラバラになると、力強さが変わってしまう。フィギュアスケートって本当に、(足の)先から(手の)先まで表現するじゃないですか。顔の表情もそうですし。私たちは表情は変えられないんですけれど、そういうところまでこだわった細かい表現は勉強になります。本当にちょっとのズレでも、それで勝敗がコロッと変わる。それは私たちにも起こりえることなんです」

形とは仮想の敵に対しての技を、一連の流れとして組み合わせた演武。試合は1対1の採点競技だが、演武は1人ずつ行う。フィギュアスケートと似た部分も多い。1度使った形は同じ大会で再び使えないため、選手は決勝までの勝ち上がりを想定して7種類程度を準備する。清水の場合、試合1週間前は通し練習。練習は地道で、過酷だ。

「1つの形を30分単位で練習しても、4時間近くかかります。でも、自分の性格は1つ1つの技を大事にするタイプ。1つの形の練習を、1人で黙々と6時間でもできます。試合が多いと(通し練習に時間が割かれて)こだわりきれないんですが、大切にしているのは全体の基盤。その土台は突き、立ち方など、どの形にも通じます。打ち方、表現の仕方、間合いは形によって違っても、基礎は一緒なんです」

夏季競技の空手と冬季競技のフィギュアスケート。一見、かけ離れているように見えても、実はつながっているようだ。さらにそこには、新しいヒントが転がっている。

清水は誓う。

「2020は自分が納得できる演武をして、優勝したいです」

「演武するものなので、見た人の心に残る選手になるために(形を)磨いていきたいです。その気持ちを変えずに、五輪まで行きたいんです」

2月に平昌五輪が終わったかと思えば、約1年10カ月後には東京五輪がやってくる。ちょっぴり意外な? 競技間でのバトンの受け渡しを見つけるのも、面白い。【松本航】


◆松本航(まつもと・わたる)1991年(平3)3月17日、兵庫・宝塚市生まれ。兵庫・武庫荘総合高、大体大とラグビー部に所属。13年10月に大阪本社へ入社し、プロ野球阪神担当。15年11月から西日本の五輪競技を担当し、18年平昌五輪では主にフィギュアスケートとショートトラックを取材。

スポーツをこよなく愛する日刊スポーツの記者が、スポーツの醍醐味、勝負の厳しさ、時には心が和むようなエピソードなど、さまざまな話題を届けます。

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