斬新な取り組みで話題の近大がまた、新たな改革に着手した。近大は1日、東大阪市のキャンパスで「アンダーアーマー」を展開する株式会社ドームと、「体育会クラブ統一ロゴ&新ユニホーム決定」の記者会見を行った。

 17年に包括連携協定を結んだ同社と青の新ユニホームを製作し、統一ロゴを設定。ニックネームを「KINDAI BIG BLUE」、スローガンを「ATTACK THE WAVE」とした。ドーム社の取締役常務執行役員である三沢英生氏(44)は「近大ブルーで大阪の街を埋め尽くしたい」と壮大な夢を語り、近大の世耕石弘総務部長(49)は「将来的には近大の中に(ウエアなどのグッズを販売する)ショップを作りたい」と理想を掲げた。

 大きな目的は大学の一体感と学生の愛校心の醸成。青に統一されたアンダーアーマーのユニホームを着用し、同じロゴを背負って戦うことで、体育会だけでない、横のつながりを持つことが期待される。

 会見に同席した国際学部3年の広重健太さんは、同学部の学生50人にアンケートを実施。「近大のロゴ入りTシャツを着て出歩きたいか」の質問には「YES」が16%(NOが84%)で、「恥ずかしい」「部活生以外は着ているイメージがない」といった意見が寄せられた。「体育会クラブの応援に行ったことがあるか」の質問には「行ったことがある」が8%、「ないが、機会があれば行きたい」が52%だったという。調査結果を踏まえて、広重さんは「『スエットやパーカーなら着たい』という声もある。今回、アンダーアーマーとコラボして格好いいデザインになっている。学内にショップを展開すれば、体育会クラブの応援に行くきっかけになると思います」などと提言した。

 一方で、各クラブが築いてきた伝統が途絶える場合もあり、難しい取り組みといえるのも事実だ。「デビルズ」の愛称で親しまれてきたアメリカンフットボール部も、来季からは「ビッグブルー(BIG BLUE)」に変更。新ユニホームは25日の関学大との今季リーグ開幕戦から着用予定だ。同部の時本昌樹監督は「我々には800人のOBがいて、チーム名への愛着もある。でも、新しいことをするのに、多少の犠牲は必要。愛校心や愛着を高めていくためと思って、参画しました」と決断にいたった経緯を明かした。

 この日はユニホームを新調したアメフト部、ゴルフ部、バレーボール部、ラクロス部、ラグビー部の5クラブの代表者が出席。中島茂スポーツ振興担当理事(71)は「さまざまなクラブがドームさん以外のメーカーと契約していたり、事情がある。卒業生との関係性もあるし、徐々に統一していきたい」と語り、世耕部長も「7年後(25年)の100周年で、完成型を見せられるようにしたい」と他クラブとも足並みをそろえていく構えだ。

 90年以上の歴史を持つ近大。その改革が成功すれば、他大学のモデルケースともなりそうだ。【松本航】