男子カナディアンシングルは前回リオデジャネイロオリンピック銅メダルの羽根田卓也(32=ミキハウス)が、4大会連続の五輪代表に決まった。

男子カヤックシングルは足立和也(28=山口県体育協会)が矢沢との一騎打ちを制し、初の五輪代表を手にした。日本カヌー連盟は、選考対象レースの合計獲得ポイントランキングで各種目の最上位を代表にすると定めている。

  ◇  ◇  ◇

羽根田は結果を求めた。決勝に出場すれば五輪代表が決まる状況だったが、気の緩みはない。本番と同じ会場で93秒90の好タイムを出し、レース直後は小さくガッツポーズ。世界の強豪が集結した中で3位に食い込み「強い選手がいる中で表彰台に上がることができた」と納得の表情を見せた。

巧みなパドルさばきや、素早いターンで流れをとらえ、ペナルティーなしでまとめた。「準決勝の方がはまった」というが、決勝も9月の世界選手権のメダリストたちに引けを取らない巧みなこぎを披露した。

リオ五輪で日本人初の銅メダルを獲得し、周囲の環境も変わった。「競技に気付いてくれて、取り上げてもらう機会も増えた」。自身も技術や道具に対する研究を続け、試行錯誤をしながら日本のトップに君臨し続けた。リオ五輪当時の映像を見てミスが多いと分かるようにになったことで成長を感じた。昨年まではコースを読み誤ったこともあったが、柔軟に対応できるようになった。「強さを見失わなければ大丈夫だという自信が確信に変わった。プレッシャーもあるが、それをエネルギーに変えたい」と言い切った。

今後は23日からのテストイベントにも出場する。「もっとレベルの高い選手が来る。海外選手もこれから上げてくる。気を引き締めてやっていく」。代表決定は通過点にすぎない。周囲から期待も高まる本番へ「求められているのも分かっている。目標はみなさんと一緒。銅メダル以上を目指したい」。すでに五輪でのメダル獲得の青写真を描いていた。【松熊洋介】