「柔道界の画伯」こと柔道元日本代表でモルドバ代表コーチを務めていた石川裕紀氏(31)が14日夜、モルドバから帰国した。

20年夏までの契約満了で、トルコ・イスタンブール経由で羽田空港に到着。新型コロナウイルス感染防止のためPCR検査を受け、空港からアルミ製マットと毛布、弁当を受け取りロビーで一夜を明かした。15日から29日まで都内のホテルで自主隔離生活を送る。

半年ぶりに帰国した石川氏は「コロナの影響で一度も帰国できませんでしたが、モルドバでは多くの方の支えがあり、『感謝』の一言です。来夏の東京オリンピック(五輪)までコーチとして選手たちの成長を直接見られないのは残念ですが、彼らが来日した時には少しでもサポートできるようにしたいです」と前を向いた。

石川氏はトップ選手の似顔絵を数多く描いており、特徴をつかんだ柔らかいタッチのイラストが注目を集めている。3月中旬に東海大の後輩で16年リオデジャネイロ五輪男子60キロ級銅メダルの高藤直寿(27)から「SNSのアイコンを描いてほしい」との要望があった。高藤が似顔絵画像をツイッターに投稿すると賛辞の声が相次いだ。その後、男子66キロ級で五輪2大会連続銅メダルの海老沼匡(30=ともにパーク24)ら国内の強化選手から依頼が殺到。男子代表の井上康生監督(42)やその他コーチ陣も描き上げ「井上ジャパン」も完成させた。全日本柔道連盟の練習再開に向けた、子供用のガイドライン簡略版も作成した。

今後は実家の和菓子店を手伝いながら、柔道普及活動に尽力するという。

◆石川裕紀(いしかわ・ひろのり)1988年(昭63)7月26日、茨城県生まれ。5歳で柔道を始める。栃木・白鴎大足利高-東海大-了徳寺大職。60キロ級で11~14年全日本実業個人選手権優勝。12年グランドスラム・東京大会準優勝。今年1月にモルドバ代表コーチに就任。左組み。得意技は一本背負い投げ。趣味は絵を描くこと。家族構成は妻。168センチ。血液型B。