ラグビー、トップリーグ(TL)の神戸製鋼は、地元神戸に笑顔を届けようと、追悼動画を公開する。阪神・淡路大震災から26年となる17日、発生時刻午前5時46分に合わせ、チーム公式サイトやYouTubeなどに動画をアップ。震災を乗り越えた「KOBE」から、新型コロナウイルスによる閉塞(へいそく)感を打破し、前を向き進もうとのメッセージを込めた。

その動画“予告”編となる30秒バージョンを先行公開した。

震災前日の16日、本来なら、本拠地ノエスタでヤマハ発動機とのTL開幕戦を戦う予定だった。だが、11日に定期PCR検査を行い、チーム関係者10人に陽性判定が出た。12日午後から関係者全員は自宅待機。主催者は、リーグ全体の感染状況も踏まえ、2月開幕を目指すと発表していた。

神戸製鋼は95年、日本選手権7連覇の2日後に震災に見舞われた。神戸市内の10階建て社員寮は1階がつぶれ、選手は隙間をこじ開け、外に飛び出した。当時の主力だった故平尾誠二さんは、ラジオで「皆で立ち上がりましょう。頼っていたら、いつまでも立てませんよ」と呼びかけた。

練習場は液状化現象で、復旧は9月。96年1月の全国社会人大会準々決勝はサントリーと17-17で引き分け、トライ数の差で8連覇の夢が途絶えた。

当時、現役だった福本正幸チームディレクター(53)は「今年は震災の前の日に開幕を迎え、思いをプレーで届けたいと思っていました。(コロナ感染で)ご迷惑をおかけしていますが、ラグビーができる状況になりましたら、チーム全員で思いを共有し、優勝を目指して頑張ります」と決意を示した。

震災後に生まれた選手も年々増える。だが、神戸製鋼にとって「1・17」は特別な日。前しか見ない-強い気持ちで進む心意気をプレーに込める。【松本航】

◆今季の神戸製鋼 昨季はシーズン途中で打ちきり、18-19年シーズンと合わせた“2連覇”を狙う。前回V立役者で、元ニュージーランド(NZ)代表の世界的SOカーターは退団したが、W杯優勝経験を持つ万能型BKスミス、SOクルーデンの元NZ代表コンビを補強した。19年W杯日本代表プロップ中島、FB山中らも健在。

◆今季のTL 6チーム62人がコロナ陽性判定で、この日16日予定だった開幕延期が決まった。2月上旬~中旬の開幕を目指し、大会方式も変更。TL16チームを2組に分けて8チームずつで総当たりを行い、トップチャレンジリーグ(TL2部相当)の上位4チームを加えた20チームのトーナメントで優勝を決める案を軸に調整する。閉幕は5月下旬。来年は25チーム参加「3部制」の新リーグに移行する。振り分けは今季のTL成績や、事業運営力などを踏まえて審査予定。