15季ぶりの優勝を目指す神戸製鋼が7トライを奪う快勝で、OB平尾誠二さん(享年53)の命日を飾った。“平尾チルドレン”のFB山中亮平(30)が先制を含む3トライを奪うなど、チームミーティングで平尾さんの映像を見て臨み、NECを48-31。6勝1分けで勝ち点30とし、既に突破が決まっていたレッドカンファレンス(紅組)の1位が決定。紅組とホワイトカンファレンス(白組)の各上位4チームによる決勝トーナメント出場チームがこの日出そろい、神戸製鋼は初戦(12月1日)で白組4位リコーと対戦する。

後半23分。FB山中が左中間ゴール前でパスを受けた。「前にスペースがあった。DFも左に流れていたし」。右前方に切れ込み、マークを2人かわした。平尾さんばりのステップだった。口ひげ育毛剤がドーピングに抵触し、11年から2年間の資格停止処分を受けた際、神戸製鋼に引き留めてもらった“恩人”にささげるようなトライだった。

16年に胆管細胞がんで他界した平尾さんの三回忌。フランカー橋本大主将は「今日だけは結果だけを求めました」。ディロン・ヘッドコーチがスタッフに頼み、平尾さんの映像を編集してもらい、18日のミーティングで流した。スーパースターのSOカーターも「ヒラオさんのレガシーを引き継ぎたい」と話した。

紅組1位突破は通過点。目標は15季ぶりの優勝しかない。「平尾さんが生きている間に、と思ってましたけど…」と橋本主将。故人も願っていた頂点へ、神鋼はさらに加速する。【加藤裕一】