泉ピン子のスタートは歌謡漫談家 しんみりした話も最後はしっかり笑いを誘う

【番記者裏話】スクープや芸能界の最新情報を求めて現場を駆け回る芸能記者が、取材を通じて感じた思いをつづります。

番記者裏話

竹村章

先日、女優泉ピン子(74)を取材した。村田雄浩(62)と2人だけの朗読劇「泉ピン子のすぐ死ぬんだから」(東京・池袋あうるすぽっと、8月4~14日)を開催することになり、会見とトークショーが行われた。原作者の内館牧子さんも出席した。

トークショーはピン子の毒舌が全開。会場は爆笑の連続だった。ピン子といえば、ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」をはじめ、数々2時間ドラマや、ちょっと前では、NHK大河ドラマ「おんな太閤記」や朝ドラ「おしん」など、女優としての活躍は長い。ただ、それ以前をさかのぼると、スタートは歌謡漫談家だ。

父は浪曲師で親戚にも芸人が多い。キャバレー回りをしている時に、日本テレビの情報番組「ウイークエンダー」にリポーターとして起用されたところ、話術の巧みさから評判となり、女優業への進出につながった。この「ウイークエンダー」、風俗や下ネタも多く取り上げたことから、PTAをはじめ、まじめなお母さま方から、ワースト番組としてたたかれたことも、付け加えておきたい。そして「11PM」などとともに、子どもが大人の世界をちょっとのぞく、架け橋的な存在でもあった。

今回の朗読劇についてピン子は「昔から朗読劇をやりたかった。今回の作品は女優人生の集大成にしたい」と前向きに語る。だが、最近のテレビについてふられると「テレビは予算がないでしょ。だからギャラの安い人ばかり出て、知らない人ばかり出ている。私みたいななババアは、出るとこないのよ。だから、今回の話はうれしかった。今日のような会見も、生存確認だから」。

たしかに、芸能人がテレビに出なくなると、どうしているんだろうと、心配になってくる。仕事はテレビだけではないのだが…。

毒舌&爆笑はさらに続く。サービス精神が旺盛なのだろう。昔の夫の不倫騒動にまで自ら言及し、自虐的な笑いにもっていく。「(夫は)東京の病院勤務なので、東京に住んでいます。1週間に1度会うくらい。もう友だち、みたいなもんですね。結婚なんて、ある意味お手伝いさん。だって、主婦なんてセックス付きのお手伝いさん、みたいなもんでしょ。時間かけて料理を作っても、食べるのは15分ですから。でもね、結婚したときは夫はゲイじゃないかと思っていたんですよ。それなのに、若い女性と…」と毒舌は止まらない。それでも「体は正直で、円形脱毛症になった」と本音も語る。不倫騒動を笑いに変えるピン子だったが、やはり、精神的にはダメージを受けていたのだろう。

ピン子といえば、橋田ファミリーの中心的な存在だ。親しかった脚本家の橋田寿賀子さんに誘われ、熱海に移住。「お墓も熱海に作りました。だんなは入れてやろうと思うけど。今の楽しみは犬の散歩なので、犬の骨を私の遺骨の中に入れてといってあるんです」。

橋田さんの話になると、さすがのピン子も神妙なトーンになる。「私が明治座の舞台に出ているとき、差し入れを贈ってくださって。その時の手紙の文字が斜めになっているんです。それまで便箋にきれいな文字をつづっていた先生だったのに。それで、もう死期が近いことを悟りました」。橋田さんの最期についても「私が足をさすって。最後に私の顔みて息を引き取りました。死に化粧もできました」としんみり。「葬儀費用は35万円でした。私は父の葬儀の時、豪華な100万円のひつぎにしたけど、上に布をかけるから、その豪華さがわからない。骨つぼも大理石にしたけど、喪主だから重くて重くて」と最後は笑わせるところがさすがだ。

ちなみに、ピン子が出演し、今でも日本のドラマ史上最高視聴率を誇る「おしん」の脚本家は橋田さんで、内舘さんはその時に、橋田さんの資料整理などを手伝っていた縁がある。内舘さんは橋田さんの弟子ではないが、ピン子いわく「うちの子も売れたのよ」と自分の娘のように、内舘さんの活躍を喜んでいたという。