日本障害者スキー連盟の2016~17シーズン活動報告会見が8日、都内の日本財団ビルで行われた。

 日本選手として初めてW杯総合連覇を飾った男子アルペン座位の森井大輝(36=トヨタ自動車)らノルディック、スノーボードを含めた9選手と猪谷千春会長以下連盟スタッフが出席。9カ月後に迫った平昌パラリンピックへ向けて強化が順調に進んでいることを報告した。

 日本パラスキー界のリーダー格として選手、スタッフの中央に陣取った森井は、落ち着いた表情で口を開いた。「プレ大会を勝てたのは大きいですね。平昌のコースは(14年の)ソチに比べて滑りやすい。ぜひ、タイトルがほしいです」。今年3月のプレ・パラリンピック、W杯平昌大会で5種目に出場して滑降、大回転を制し、スーパー大回転でも3位で表彰台に上がった。初めて平昌の本番コースを滑ったが、しっかりと固められた氷の上に軽い雪が降り積もり、高度なテクニックと鋭いターンで勝負する森井の滑りにもフィットしたという。

 アルペンのオールラウンダーとして2季連続でW杯年間総合優勝。日本選手初の快挙でもある。世界舞台にデビュー以来、15年にわたってトップレベルで活躍してきた森井に、ただ1つ足りないのがパラリンピックの金メダルだ。02年ソルトレークシティーから4大会連続で銀3つ、銅1つ。平昌で5大会連続出場を果たし、悲願の金を手にするために、前シーズンから座って滑るチェアスキーの足の部分を覆うカウル(風よけ)の形状を研究中だ。技術だけでなく、ギアにも徹底してこだわる姿勢がベテランを支えている。

 昨年のリオデジャネイロ・パラリンピックで、日本選手団は期待されながら金メダルゼロに終わった。20年東京に弾みをつけるためにも、平昌での闘いは重要になる。「僕もそうですが、チームとして1つでも多く金メダルを取れればと思います」。世界の頂点を極めた男が、ゴールドラッシュの先頭に立つ決意を明かした。【小堀泰男】

 ◆森井大輝(もりい・たいき)1980年(昭55)7月9日、東京都あきる野市生まれ。16歳の時、バイク事故で脊椎を損傷。病室で長野パラリンピックをテレビ観戦し、大日方邦子らの活躍に感動してシッティングスキーを始める。パラリンピック4大会連続出場で06年トリノ大会で大回転銀、10年バンクーバー大会で滑降銀、スーパー大回転銅、日本選手団主将を務めた14年ソチ大会でスーパー大回転銀。2011-12シーズンにW杯総合初優勝。