パラリンピック出場5回、金3つに銀、銅と5つのメダルを持っている藤本聡(42=徳島視覚支援学校職)が存在感を発揮した。男子66キロ級で予選リーグを2連勝で通過すると、準決勝では17歳の瀬戸勇次郎(修猷館高)に背負い投げで一本勝ち。決勝では20歳のユン・ヨンホー(韓国)に敗れたが、しぶとく銀メダルを獲得した。

 「試合でどうなるか分からなかった。よく戦えたと思います」。決勝で後方に引き倒されるように一本を奪われた瞬間、絶叫に近い藤本の声が場内に響き渡った。左足を引きずって退場して表彰式にも姿はなかったが、インタビューには笑顔で現れた。

 今月上旬に左内転筋を痛め、やっと普通に歩けるようになったばかり。調整もできなかったが「思い切っていくしかなかった」と開き直って国内外の若手に立ち向かい、結果を残した。大会を海外招待選手が席巻したことについては「厳しいけれど、外国選手と戦える機会は少ない。来てもらえるのはいいことです」と前向きにとらえていた。