5度目のパラリンピックで悲願の金メダルを目指す。男子座位の回転では平昌(ピョンチャン)冬季パラリンピック代表でW杯2季連続総合優勝の森井大輝(37=トヨタ自動車)が優勝した。

 3日の大回転では2本目で途中棄権したが、この日は1本目が1位、2本目が2位と安定した滑走を披露。森井は「思っていた以上に滑りやすく、急斜面でのターンが格段に上がっていることがタイム向上につながった。持っていないのがパラリンピックでの金メダル。どうしてもほしいし、必ず取る」と闘志を燃やした。

 02年ソルトレークシティー大会から4大会連続出場し計4個のメダルを獲得しているが、いまだに表彰台の頂点には縁がない。パラスキー界の“絶対的エース”として活躍してきた自負もあり、より一層金メダルへの思いは強い。

 16歳の夏にバイク事故で脊椎を損傷。車いす生活となり、打ちひしがれていた病院で見たのが98年長野大会の映像だった。ゴール後に笑顔で健闘をたたえ合う選手たちを見て「あんなに楽しそうに笑えるなんて」と衝撃を受けた。これを機に17歳で競技を始め、今ではチェアスキーの開発や改良にも尽力する。 

 森井は言う。「パラリンピックが自分を変えた。平昌に向けての準備は徐々に整っている。あとは、もう1つ(滑走の技術的な)味付けを変えて臨みたい」。残り1カ月で微修正して、5度目の大舞台で大きな花を咲かせる。