車いすバスケットボール男子日本代表の会見が8日、オンラインで行われ、京谷和幸ヘッドコーチ(HC、49)は東京パラリンピック代表12人を来年4月に決定する意向を明らかにした。

男子代表は5日から11日までの日程で、豊島英主将(31=宮城MAX、WOWOW)ら17選手が参加し、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで強化合宿中。京谷HCはチームの現状と今後の強化スケジュールについて説明した。

「今はチームの土台をつくっている段階。12月から代表の第1次選考を始め、メンバーを絞り込んで4月には12人を決めていきたい」

新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月から活動を停止していたが、7月から代表合宿を再開。その後、毎月1回、1週間の日程で強化合宿を組み、フィジカルの回復や基礎技術のトレーニングから、現在は攻撃の基本戦略の共通理解を深める段階に入った。今後は攻守両面で熟成度を高めて12月から代表選考に入り、3月に最終テストとなる国際試合を戦う予定という。

男子代表は国際舞台で思うような結果を残せていない。08年の北京パラリンピック7位以降、パラリンピック2大会、世界選手権の3大会はすべて9位。昨年11~12月のアジアオセアニア選手権では4位でメダルを逃し、今年2月には及川晋平監督(49)の下で京谷HCがチームの指揮を執る新体制に移行した。その直後からコロナ禍が拡大する不運に見舞われている。

日本はトランジションバスケット、堅い守備からのスピードに乗った攻撃を戦略の軸に据えるが、大事な試合を勝ちきれないパターンが続いている。「基本戦略は変えない。試合終盤のミス、集中力という点で意識を変えさせたい」と京谷HC。悪循環を払拭(ふっしょく)するために、戦略を維持しながら試合を通じた運動量をこれまでの1・5倍に増やし、その中で規律とルールを徹底できるチームづくりを押し進めるという。

東京パラリンピックではメダル獲得を目標に掲げている。司令塔の豊島主将は「自分はチームが勝ちきるためにどうするか。ゲームコントロールなのか、プレーなのか。最後に勝利につなげられるようにしていきたい」とチームと自らの課題を重ね合わせた。コロナ禍の収束は見通せず、今後の実戦経験なしで東京パラリンピックに臨まねばならないことも考えられる。それでも京谷HCは「トレーニングから運動強度を上げて、まず、自分たちの足元を固めたい。ぶっつけ本番になっても、それが日本にプラスになるかもしれない。悲観はしていない」と力強かった。【小堀泰男】