ボートのPR1女子シングルスカルの市川友美(41=湖猿ローイングチーム)が、東京パラリンピック代表に内定した。スリランカ選手との2艇による決勝で、3分以上の差をつけて圧勝。前日のレースでは艇を真っすぐ操作できなかったと振り返った上で、「きょうは真っすぐこげた」と笑顔を見せた。

対戦した選手は、チーム関係者に新型コロナウイルスの陽性反応が出たため、前日の予備予選を棄権。連日のPCR検査でいずれも陰性が確認されたことで、なんとかこの日の決勝に出場した。もし決勝で戦う相手がいなければレースは行われず、代表内定は持ち越しとなっていたが、「2000メートルをこがせてもらえるなら、昨日よりもできることをやろうと思っていた」。気持ちを切らすことなくレースを迎え、力いっぱいこいだ。

前日には五輪パラリンピック選手へのワクチン確保が発表された。「20代や30代の仕事をしている人に打った方がいいんじゃないかなとは思っている」。個人的な見解をこう口にした上で、「ただ、海外から来る人が打っているのに、こっちの人は打っていないというのは、おかしいといえばおかしいかな」とも述べた。

9年前のスノーボード中の事故で、両下肢に重い障害が残った。ボート競技を始めたのは約5年前。初めて臨むパラリンピックの舞台に「今こんな状況で、どうなるかわからない」と前置きしつつ、「応援してくれる家族や友達に、頑張っている姿を見せられるのはやっぱりうれしい」。にこやかに、前向きに、開幕の日を待っている。