16年リオデジャネイロ・パラリンピック銅メダルの辻沙絵(26=日体大教)は1分0秒55だった。

初めて走る国立競技場だった。「とてもワクワクしながら、緊張もしていた感じ」。内定が決まった東京パラリンピックの舞台。タータンの反発も好感触だっただけでなく、「(走っている途中で)タイムが4カ所から見える。確認しながら走れたのでよかった」と振り返った。

4月のジャパンパラでは自身の日本記録を塗り替える58秒45をマーク。今回は「57秒台」も視野に入れて走ったが、タイムは伸びず。「走りのフォームが崩れた」と重心が前に出過ぎたことを反省点に挙げた。

一時期の不調を乗り越え、東京パラでは2大会連続のメダルを目指す。「出場だけで終わらせるのではなく、目指しているメダルをつかみ取れれば」と語った。開催には否定的な声もあるのは事実。「私自身も人生をかけて取り組んでいる。生活もかかっている。遊びではないということは分かっていただければと思う」と言った。五輪・パラリンピックの結果によって待遇は大きく変わるアスリートは多い。「パフォーマンスを出すことに集中して目の前に来た大会を一生懸命こなすだけ」と話した。