【マナウス(ブラジル)5日(日本時間6日)=木下淳】リオデジャネイロ五輪日本代表のGK中村航輔(21=柏)が、7日(同8日)の1次リーグ第2戦コロンビア戦で先発する可能性が出てきた。不動の守護神だった櫛引政敏(23=鹿島)が初戦ナイジェリア戦で5失点。負ければ敗退の大一番で、柏の正GKとして試合勘でリードする中村に白羽の矢が立ちそうだ。日本の五輪代表で1大会で2人のGKが出場したことはなく、中村が出場すれば初のケースとなる。

 悪夢の5失点から1日がたち、五輪代表イレブンが再始動した。ナイジェリア戦の出場組はジョギングなどで疲労軽減に努め、サブ組はシュート練習やミニゲームを実施。中村は鋭い反応と飛び出しで間合いを詰めて堅実なセーブを連発し、五輪初出場に向けて、良好な状態であることをアピールした。

 初戦はベンチにいた。ミスで失点を重ね、ハーフタイムで戻ってきた仲間を誰よりも元気にもり立てていた。15年3月のアジア1次予選は出番がなく、今年1月の最終予選は選出されながら負傷で辞退した。第2GKの立場が続いてきたが、いよいよ先発の可能性が出てきた。背水のコロンビア戦に向け「準備できている。機会が来たら、結果を残すために全力で戦いたい」と集中した。

 世界大会は、過去最高タイの8強に進出した11年のU-17W杯以来だ。当時の準々決勝で敗れたブラジルと、7月30日の国際親善試合で再戦。先発して2失点も好セーブを連発した。「上には上がいると肌で実感させられた」5年前と比べて「あの時に受けたような衝撃はなかった。少しは差が少なくなったのかな」と成長を実感している。

 昨季は期限付き移籍した福岡でJ1昇格に貢献し、今季は復帰した柏で代表活動期間を除く全試合に先発している。昨季のプレミアリーグを制したレスターの守護神シュマイケルの映像を研究し、技術を磨く。鹿島でリーグ戦の出場がない櫛引より試合勘があることも強みだ。「残り2試合とも勝つしか決勝トーナメントに上がれないと思う。1戦1戦、勝ちを目指す」と燃えている。

 日本は過去の五輪で1大会で2人のGKが出場したことはない。それほどGK交代は異例だが、大一番で、乱打戦の末に敗れたチームを浮上させるビッグセーブが期待される。「決定機を防ぐことは1点を取るのと同じ」と考えている男が勝ち点3に導く。

 ◆中村航輔(なかむら・こうすけ)1995年(平7)2月27日、東京都生まれ。U-12(12歳以下)から柏の下部組織に所属し「アカデミーの最高傑作」と呼ばれる。13年にトップ昇格も2年間は出場機会がなく、15年にJ2福岡へ期限付き移籍。今季は柏で五輪前までのリーグ21試合中19試合に出た。世代別代表はU-15から常連。趣味は将棋で会いたい人物は羽生善治棋聖。184センチ、72キロ。

 ◆日本の五輪代表GK 1大会で2人のGKが出場したことは過去にない。出場資格が23歳以下となった92年バルセロナ五輪以降、日本は96年アトランタ五輪から6大会連続で出場しているが、過去5大会はいずれも背番号1の正GKが全試合フル出場し、背番号18の控えGKの出場はなかった(今五輪の中村は背番号12)。また、日本が出場した36年ベルリン五輪、56年メルボルン五輪、64年東京五輪、銅メダルを獲得した68年メキシコ五輪でもGKの出場は1人だけだった。