相沢晃(24=旭化成)は世界の壁に跳ね返された。中盤から集団の後方に下がり、ペースアップが難しくなった。終盤からは集団から脱落。1万メートル決勝で、28分18秒37の17位だった。

「ペースアップに対応できず、世界との差を実感させられました」。高温多湿の中だったが、優勝タイムは27分43秒22。約35秒の差をつけられた。

64年東京五輪マラソン銅メダルの円谷幸吉さんの故郷である福島・須賀川市出身。中学時代は「円谷ランナーズ」というクラブで力を磨いたランナー。東洋大ではエースとして活躍し、旭化成入社後の昨年12月では27分18秒75の日本記録を樹立した。その後はスピードを重視してトレーニングしてきたが、海外の強豪のスピード、駆け引きは、その想像を超えていた。また「後半のスタミナが足りなかった」とも言った。

同じく1万メートル代表で、29分1秒31の22位だった伊藤達彦(23=ホンダ)は自他共にライバルと認める存在。2人で五輪までたどり着いたが、2人で世界の分厚い壁を突きつけられた。相沢は「まだまだ互いに力が足りなかった証拠。2人で日本を背負っていけるように、切磋琢磨(せっさたくま)して走れれば」。出るだけでなく、世界で戦うための意識を強くした。