東野有紗が前衛に入って、緩急を使いながらゲームの組み立てができたことが大きい。香港ペアは、準決勝の中国ペアよりもスピードがなかった。混合では女子が狙われることが多いが、しっかり守備もできていた。渡辺勇大はスマッシュとドロップの使い分けがうまい。スマッシュの体勢で相手の動きを止めるようなドロップが打てる。世界でも他にいない高等技術。また、高校時代にシングルスでも王者になるほどの実力がありスペースに振られても、運動量を落とさず拾い続けた。相手は狙いどころがなかった。

2人が出てきて混合のレベルは上がった。私が出場した12年ロンドン五輪のころは、自分たち(池田、潮田組)だけで専属コーチはいなかった。練習は与えられたメニューを、自分たちだけでやることが多かった。今は違う。18年に海外からジェイミー・コーチを招き、混合のために時間と場所を確保して強化できたことは大きい。

混合には成長できる要素が多くある。前衛が女子だと、男子ダブルスと比較し、羽が後衛まで抜けてくることも多く、男子はカバーする領域が増え、守備力がアップする。女子は男子の強打を受け、コントロール意識が高まる。2人を破って優勝したペアを含め中国勢とはまだ差がある。混合をやる意味をコーチが伝え、2人のように若い頃から練習しておくことが技術向上につながる。とにかく、おめでとうと伝えたい。(08年北京、12年ロンドン五輪日本代表)