バドミントン混合ダブルスで銅メダルを獲得した渡辺勇大(24)、東野有紗(24)組(ともに日本ユニシス)が31日、都内で一夜明け会見に臨んだ。

30日の3位決定戦では香港ペアを21-17、23-21で退けた。勝利の瞬間は抱き合って喜びを分かち合い、東野は「この10年間の思いを全て乗せて抱きしめました」と振り返った。

苦しんでいたバドミントン日本勢に、今大会唯一のメダルをもたらした。男子シングルスでは桃田賢斗、女子シングルスでは奥原希望、山口茜ら有力選手が相次いでメダルを逃していた。

渡辺は「僕ら以上に他の選手はメダルを期待されていたと思うし、僕ら以上にプレッシャーも半端なかったと思う。そういうものを僕らもひしひしと感じていた。難しいゲームが続いて2人で楽しもうと話していたが、そういう楽しむゲームが実際あまりできなかった。ただ、やるからには覚悟を持ってコートに立てていた」と話した。

東野は「自分たち以上に先輩たちは重圧がすごかったと思う。先輩方の分まで自分たちも頑張ろうと臨んだ」と振り返った。

東京出身で24歳の渡辺と、北海道出身で1学年上の東野はバドミントンの強豪、福島・富岡第一中で出会った。東日本大震災が発生した11年3月はそれぞれ中1、中2。

渡辺は「福島で育ったといっても過言じゃない。福島の方々に何か勇気や感動を与えられたらと思っていた。少しでも恩返しができたという気持ち」と語れば、東野は「福島で過ごした6年間はかけがえのないもの。本当に福島県の方々にはお世話になった」と感謝を口にした。被災から10年後の復興五輪で、日本勢初のメダルをもたらした。

次は24年のパリ五輪。ともに「金メダル」を目標に掲げつつ、渡辺は「ちょっとゆっくり休みたい気持ちもある」と表情を緩ませた。東野は「悔しい思いをしたので、パリ五輪では金メダルを取りたい」と力強く語った。