東京オリンピック(五輪)開幕直前連載「恩師が語る 県勢代表選手のここがすごい!!」の最終回は、体操女子の個人種目別平均台で日本代表となった芦川うらら(18=静岡新聞SBS、富士市出身、常葉大常葉高出)です。小2から指導してきた水鳥体操館(静岡市葵区)の水鳥政弘コーチ(64)が、初の大舞台に挑む教え子の魅力を語ってくれました。【取材・構成=前田和哉】

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-最初の印象は

出会った時から、人並み以上に体が柔らかかったですね。平均台は柔軟性があった方が有利。他の種目で頭角を現せないことがきっかけでしたが、芦川に合った種目が平均台でした。

-具体的には

柔軟性がある分、平均台の幅(10センチ)の中でのバランスの微調整が上手。体勢を崩した時の修正が利き、戻す力がある。1つ1つの技の着地でも余分なステップを踏まない安定感があるように感じています。

-柔軟性以外の武器は

芦川が「足の裏で平均台をつかむという意識でやっている」と話す感覚です。多くの選手が、足首や膝を使って衝撃を吸収する。彼女の場合は、それだけではなく「つかむ」ということを意識的にやれることも1つの武器だと思います。

-4姉妹の末っ子に生まれた芦川。次女の七瀬さん、三女の実鈴さんも体操に励んでいた

2人の姉が本当に一生懸命練習をするし、頑張る子たちでした。その姿を見て「体操の取り組み方」が、そういうものだと自然と身についたと思います。特に七瀬は強くて、ジュニア日本代表としてアジアチャンピオンにもなった。2人への憧れもあったと思うし、身近にお手本があったことが大きかったと思います。

-25日の予選から始まる五輪本番まで約1週間。最後に、演技の注目点は

大きな選手のダイナミックさ、芦川よりももっと体が柔らかい選手の柔軟性、跳躍力がある選手の高さにはかなわない。芦川の小さい体や安定感を生かすのは、流れるような演技だった。多くの選手が1つ1つの技に対して、集中するために静止が入る。芦川の場合は、最後まで流れるような演技で着地をピタッと止める。そこを理想に、誰にもない表現の仕方を一緒に作り上げてきたので、ぜひ見てほしいです。(おわり)

◆芦川(あしかわ)うらら 2003年(平15)3月8日、富士市生まれ。1歳の時に姉の影響で競技を始め、小2から水鳥体操館に通う。富士市立丘小を経て、中学から常葉大常葉に入学。東京五輪予選を兼ねた19年からの種目別ワールドカップで3連勝を飾り、日本代表内定。家族は両親と姉3人。143センチ。

<東京五輪体操日程(東京・江東区、有明体操競技場)>

◆女子予選第1~5グループ 25日午前10時、11時55分、午後3時10分、5時5分、8時20分開始

◆女子種目別平均台決勝 8月3日午後5時53分