4種目の合計で争う女子個人総合で日本のエース村上茉愛(24=日体ク)が日本歴代最高位の5位入賞を果たした。大きなミスなく演技をつなぎ、56・032点をマーク。入賞は日本人3人目で、60年ローマ大会、64年東京大会ともに6位の池田敬子、16年リオデジャネイロ大会8位の寺本明日香に続いた。

演技を終えて村上は「団体決勝のときに右肘をちょっと痛めてしまって、昨日の時点では試合出るのもどうかなと思うくらいだった。東京のために体操をやってきて、そんなことで諦めたくないなと思った。痛いところがあって変な緊張というか、あまり考えずに思い切って演技ができた。やっと本来の自分の演技を出せたかなと思う」と振り返った。

27日の団体決勝で、段違い平行棒の演技途中に片手が離れた影響で右肘を負傷。「諦めたくない。出ない選択肢はない。調整してケアしたい」と臨んだこの日だった。予選23位通過から巻き返しを期していた。

平均台を13・766点で滑りだすと、床運動では代名詞のH難度シリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)をまとめた。出来栄え点を狙って難度を下げた跳馬では見事な着地。14・533点を引き出すと、今大会で2回連続で離れ技トカチェフで大きなミスが続いた最終の段違い平行棒へ。

直前の練習でも落下して不安を残す中、見事にバーをつかんで流れをつなげ、着地までまとめきった。リベンジ成功に力強く右拳を握り、得点は13・733点。絶対女王シモーン・バイルス(米国)が欠場し、新女王を狙う争いの中で存在感を放った。全演技終了後には右肘をアイシングする姿があった。

会場では団体メンバーの仲間が見守ってくれた。「会場に入ったときにアップですごく寂しいなと思ったけど、みんな気負わずに楽しんできてと言ってくれて、試合会場で顔が見られるだけで心強かった。仲間がいるっていいなと思う」と感謝を口にした。無観客の中で臨んだ演技。「予選のときから違和感があってやりにくいというのも本音ではあった。その中でも一緒に戦ってきた仲間が応援してくれたのは力になった。みんなにすごく感謝しています」と話した。

17年世界選手権の床運動では、日本人63年ぶりの金メダル。18年には個人総合で史上初の銀メダル。女子の歴史を前に進め続けたエースが、また新たな功績を残した。