きょうだい同日「金」へ「勝ち神様」が後押しする。東京五輪柔道、男子66級の阿部一二三(23=パーク24)と女子52級の詩(20=日体大)のきょうだいが25日に金メダルをかけて出陣する。今年元日に、地元の神戸市・三石神社を訪れて必勝祈願。同神社の禰宜(ねぎ)小林義典さんが、きょうだいの素顔を語った。

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柔道で史上初、きょうだい同時金メダルを目指す阿部一二三と詩のきょうだいは、今年も元日に「氏神様」を訪れていた。神戸市の三石神社には幼いころから毎年、初詣など節目に訪れている。同神社の禰宜(ねぎ)小林さんは「すごくポジティブで、ネガティブな発言は聞いたことがない。『負けません』ではなく『勝ちます』。2人とも勝負師の姿が印象的です」と語る。

同神社は日本初の女性天皇・推古天皇、朝鮮からの侵攻を防いだとされる神功皇后がまつられているとされる。いわば勝負の神様で、特に女性の詩は大きな影響を受けてきた。小林さんいわく「産土神(うぶすなのかみ)」。地元において阿部きょうだいを見守ってきたという。

20年の年明けは報道陣も集まり、派手に初詣が報じられた。しかし毎年、普通に訪れている神社で、今年元日も家族だけで参り、五輪に出場するきょうだいは絵馬を掲げた。

新型コロナウイルス感染症防止から、地元もパブリックビューイング(PV)など、大々的な応援活動は自粛の方向。小林さんは「2人とも金メダルをかけて、来年(22年)の初詣に来てほしいと願うばかりです」と話す。地元にはきょうだい金メダルを願うのぼりがはためく。快挙へ、地元は静かに熱く、戦いを見守る。【実藤健一】