16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)銅メダルの永瀬貴規(27=旭化成)が決勝でモラエイ(モンゴル)を下し、金メダルを獲得した。

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派手さはないが、永瀬には堅実さがある。受けも強く、投げられない。延長は多かったが、あれが強さ。決勝もパワーが強いモラエイの攻勢を耐えしのぎ、延長になれば「永瀬タイム」だった。疲れた相手に最後も大内刈り、大外刈り、内股と高い位置を意識させ、最後は低い体勢の技で仕留めるという連続技は練習量のたまものだと思う。

永瀬と同じ所属の(73キロ級金メダル)大野がよく「永瀬(の練習)が終わらないから終われない」と舌を巻くほどの練習量を誇る。金候補と言われたリオ五輪で銅。翌年に大けがを負った。コロナ禍の1年延期もプラスに変え、その練習量で調子を取り戻した。復帰後の低迷期も井上監督の期待を受け、国際大会に派遣された。その周囲の支えに対し、五輪で恩返しした意味は大きい。(12年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪銅メダリスト)