17、18年世界選手権覇者で初出場の新井千鶴(27=三井住友海上)が金メダルを獲得した。

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長期戦となった準決勝に新井の思いが凝縮されていましたね。課題に挙げてきた組み手が強化され、しっかり組みにいき、もし組み負けたとしても冷静にさばいていました。同じく強化してきた寝技でもジリジリとタイマゾワの体力を削り、根気良く攻めて疲れさせていたので、最後の送り襟絞めにつながりました。

実力はタイマゾワよりも新井が上だと思いますが、あのような長い試合時間になると、心が折れた方が負け。さらに関節技が一本と認められず、精神的にも難しい中で集中力を持続していましたね。決勝も技ありを取った後、普通なら金メダルが頭にちらつくはず。返し技を狙われている状況でしたが、逃げることなく攻め続けていました。少しの気の緩みでこの5年間が無駄になる-というような執念と意地が最後まで集中力を持続する原動力になっていたと思います。(08年北京、16年リオデジャネイロ五輪銅メダリスト)