東京オリンピックの柔道男子100超キロ級、原沢久喜(29=百五銀行)の母校、早鞆高(山口・下関市)では30日、柔道部員らが観戦しエールを送った。

16年リオデジャネイロ五輪では銀メダルだった原沢の“雪辱”戦。後輩は午前中の練習を終え、大型スクリーンで2回戦から観戦し、緊迫した表情で激闘を見つめた。原沢が準決勝進出を決めると、柔道部の品川秀哉主将(3年)は「手に汗を握ったが、投げて勝ってくれたのでホッとしています。序盤はハラハラドキドキの場面もあったが、このまま優勝してほしい」と、安堵(あんど)していた。

だが、母校からの熱烈応援は届かず、準決勝でまさかの敗戦。その瞬間、言葉もなく静寂に包まれた。原沢は3位決定戦も敗れ、在学時に指導した中村充也監督(59)は「本調子でなく勝負をかける勢いがなかった」。ただ、2大会連続出場に「2大会出てもらい、心からお礼を言いたい」と感謝した。品川主将は「悔しい結果になりましたが刺激になりました。原沢選手の名に恥じないチームをつくっていきたい」と、力に変えた。

一方で、中村監督は原沢の試合に触れ「慎重になりすぎて、力が入りすぎて息が上がっている。これがオリンピックかな。5年前の勢いではない」と心配した。映像越しだが「練習会場で映った背中が細いと思った。調整がうまくいかなかったのか分からないが…」という。不安が的中した。【菊川光一】

◆原沢久喜(はらさわ・ひさよし)1992年(平4)7月3日、山口県下関市生まれ。6歳で柔道を始める。山口・早鞆高-日大-日本中央競馬会-百五銀行。14、18年全日本選手権優勝。16年リオ五輪準優勝。19年世界選手権準優勝。右組み。得意技は内股。趣味はドライブ。191センチ、123キロ。