16年リオデジャネイロ五輪銀メダルの原沢久喜(29=百五銀行)が3位決定戦で強敵リネール(フランス)に敗れ、メダル獲得を逃した。手足の長い12年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪連覇の相手の動きを封じ込めず、長い手足で得意の攻撃パターンに持ち込めないままで延長に突入。リネールを攻略できないまま、指導3回を受けて敗退した。

原沢は長い沈黙の後に「本当にここまでいろいろな人に応援してもらい、いろいろな人に背中を押してもらい、この舞台に立つことができました。その中で、やはり結果で恩返しできなかったのが悔いが残ります」と厳しい表情を浮かべた。

準決勝はクルパレク(チェコ)と延長まで戦いながらも7分59秒、払い腰で技ありを許して決勝進出を逃していた。

「もっとできることがあったかもしれないですが、とにかく今は悔しいです」。

無念そうに振り返った。

リオ五輪後は苦難の連続だった。17年世界選手権では初戦敗退。「オーバートレーニング症候群」を発症し、体調を崩した時期もあった。静養と徹底した食事管理で復調し、20年ワールドマスターズ大会では金メダルを獲得して自信を深めた。「柔道人生の集大成」として臨んだ2度目の夢舞台だったが、夢はかなわなかった。「今、自分なりにここに向けての人生の決断をして。いろいろな人に応援してもらい、本当に幸せだったなと思います」。サポートしてくれた多くの人の顔を思い浮かべながら、感謝の言葉を口にした。

◆原沢久喜(はらさわ・ひさよし)1992年(平4)7月3日、山口県下関市生まれ。6歳で柔道を始める。山口・早鞆高-日大-日本中央競馬会-百五銀行。14、18年全日本選手権優勝。16年リオ五輪準優勝。19年世界選手権準優勝。右組み。得意技は内股。趣味はドライブ。191センチ、123キロ。