車いすテニスで日本勢が強さを発揮した。男子シングルスは世界ランキング1位の国枝慎吾(37=ユニクロ)が、前回大会覇者のリード(英国)に6-3、6-2でストレート勝ち。銀メダル以上を確定させ、08年北京、12年ロンドン大会に続く3度目の金メダルに王手をかけた。女子シングルスは世界2位の上地結衣(27)が同種目で日本勢初の決勝進出を果たした。混合上下肢障がいダブルスは、菅野浩二(40)、諸石光照(54)組が2日未明まで及んだ3位決定戦を制して、同種目初のメダルをもたらした。

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上地の拳が、何度も何度もガッツポーズを繰り出した。あまり感情を表に出さない上地には珍しく、それだけ思い入れの深い勝利だった。初出場した12年ロンドン大会、続く16年リオデジャネイロ大会ともに、ファンクートに敗れた。「意識せざるを得ない相手」に、ついにパラリンピックの舞台で雪辱した。「三度目の正直。やっと勝てた」。

ファンクートに勝つためにこの数年、バックハンドの順回転をかけたショットに取り組んできた。「何度も何度も単純な練習を繰り返した」。手で球を出してもらい、初心者のような練習から取り組み、グリップを握る手の皮はむけた。

両脚に先天性の障がいがあり、11歳で競技を始めた。4大大会のシングルスを14年の初優勝から8度制覇。東京大会の主役として、開会式で世界から集結したパラアスリートを照らす聖火台に点火した。

車いすテニスがパラリンピックに採用された92年バルセロナ大会以来、オランダが7大会連続で女子シングルスの金、銀メダルを独占してきた。上地はその王国の一角をついに崩した。3日の決勝で、その頂点に立つ世界女王デフロート(オランダ)と対戦する。